初心者のうちはスラーのかかった滑らかな音形を弾いて録音をしてみると，音が突然大きくなったり音が出なかったりするということは多いと思います。
今回はそういったデコボコな演奏を改善するため練習方法について紹介します。
デコボコ演奏の２大原因と改善方法
難しい曲を弾けるようにするだけであればこの技術は必要ないのですが，滑らかな演奏や聴いていて心地の良い演奏をするためには，音量やタイミングを適切にコントロールする必要があります。演奏がデコボコしてしまう２大原因には以下のことがあります。
- 指が独立していない
- 手首が固まっている
滑らかに弾ける技術を身につけるためにはかなり時間はかかりますが，比較的短い時間で非常に効果のある練習を紹介します。
指が独立していない【対策：４の指だけを強く弾く】
指の独立のためには，ハノンやツェルニーなどの練習曲にちゃんと取り組むという方法がありますが，練習に時間がかかることやすぐに実感を得られない場合があるため，人によってはもっと簡単に上手くなる方法はないかと思う人はいると思います。そういう人におすすめな練習方法として，いつも弾いている曲で構わないので両手の４の指だけを強くという方法を紹介します。
やり方は非常に簡単で「４の指を使うタイミングで４の指だけ強く弾く」ということだけです。タイミングや音量がコントロールできない理由のひとつは指が独立していないことですが，指の中で弱かったり，他の指につられて動いてしまうということが原因となります。４の指は動きが鈍くなりやすく，特に独立して動かすことが苦手な場合が多いです。意識して４の指を動かせるようにするために，４の指を使うタイミングで他の音よりも大きい音で弾きます。すごく頭も使う練習なので指を動かす以上に頭を使う練習になるかもしれませんが，ゲーム感覚で練習することができます。
自分の弾いている曲で４の指だけを意識して強く弾くという練習はバッハではすごく効果が高いので，プレインベンションやインベンションが弾けるレベルの人はその中で弾ける曲で試してみていただければと思います。また，そういった曲は特にレパートリーになかったり，少しレベルが高いと思ったりする人もいると思いますが，そういう人はハノンでも十分に効果がありますので試してみていただければと思います。
手首が固まっている【対策：手首を意識的に上下させてみる】
ピアノを弾くときには脱力して演奏することが必要となりますが，手首が固まっていると指などに力が入りやすい状態となり，動きが緩慢になってしまうことがあります。柔らかい手首は脱力に役立つとともに指の動きの補助にも役立ちます。
手首が固まっている人におすすめな練習方法として，手首を意識的に上下させる練習を紹介します。具体的には，一音ずつ手首を大きく上→次の音で手首を大きく下→その次の音で手首を大きく上に動かします。大きくというと少しあいまいな表現ですが，自分のやれる範囲でできるだけ大きく動かすということでやってみると良いです。
この練習では，普段手首が固まってしまう人は手首の位置が変わらないので，意識的に大きく動かしてあげることでピアノを弾くときに手首を動かしても良いという意識を刷り込みます。また，これは練習ですので，実際に曲を弾くときには特に手首の上下動などは意識しなくて大丈夫です。拍を取るために手首を上下させる人もいますが，それは指の動きに関係なく，変な癖がついてしまうため，手首を意識的に使うという強い意識は特に不要です。
こちらはハノンで練習をすることがおすすめです。「ドミファソラソファミ」を「上下上下上下上下」のパターンと「下上下上下上下上」の２パターンで練習するとバランスが取れます。テンポはゆっくりでも十分効果があります。速く弾くのは難易度的に難しいことや実際の弾き方とは乖離があるので，そこまで速いテンポでの練習は不要です。
４の指を強く弾くという練習とあわせて行うと非常に効果が高いと思います。
どのくらいで効果が出るか？
気になる効果についてですが，結構すぐに上手くなった気分になれます。気分というだけで，効果が１度で持続するというわけではありません。全ての練習に共通するものではありますが，１回で身につき，その後ずっと同じ技術が持続するというものは基本的にはありません。ただ，少し練習してみてできなかったことが少しでもできるようになると練習が楽しくなると思います。10分前よりも指が動きやすくなったり，滑らかに弾けるようになれるのであれば，毎日少しずつ練習してあげることで，そのうち練習しなくても同じ感覚が自然と身につきます。
まとめ
今回はデコボコ演奏を克服するためのきっかけとして２つの練習方法を紹介しました。これらの練習は比較的短い練習で効果がかなり高いものであると思っています。初心者のうちで，なかなか指が回らない人や上手くならなくて悩んでいる人は，たった２つの練習をしてあげることで，少し前の自分よりも上手くなった感覚を得ることができると思います。まだピアノの初心者などで指が自由に動かないという人はぜひ試してみていただければと思います。
ゆきふり
