音名はドレミの歌のような「ドレミファソラシド」で考える人が多いと思いますが,「その曲は何調でしょうか?」という問題を出すと「ハ長調」「イ長調」などと日本語の「イロハニホヘト」で答える人も多いと思います。人によっては「C-dur」「A-dur」とドイツ音名を使う人もいるかもしれません。今回は「ドレミは何語?」ということで記事にしてみます。
音名との対応
まずは音名との対応を表で示します。
イタリア語音名 | ドイツ語音名(英語も共通) | 日本語音名 | 英語音名 |
ド | C | ハ | C |
ド♯(レ♭) | Cis(Des) | 嬰ハ(変ニ) | C sharp (D flat) |
レ | D | ニ | D |
レ♯(ミ♭) | Dis(Es) | 嬰二(変ホ) | D sharp (E flat) |
ミ | E | ホ | E |
ファ | F | ヘ | F |
ファ♯(ソ♭) | Fis(Ges) | 嬰ヘ(変ト) | F sharp (G flat) |
ソ | G | ト | G |
ソ♯(ラ♭) | Gis(As) | 嬰ト(変イ) | G sharp (A flat) |
ラ | A | イ | A |
ラ♯(シ♭) | Ais(B) | 嬰イ(変ロ) | A sharp (B flat) |
シ | H | ロ | B |
イタリア語音名
普段よく使われている「ドレミファソラシド」はイタリア語音名に対応しています。これでピアノを習っているという人は非常に多いのではないかと思います。
ちなみに,サウンドオブミュージックで出てくるドレミの歌は「イタリア語音名」と言いたいところですが,原曲は英語で歌われており,「ドレミファソラティド」と「シ」が「ティ」となっており,「シ(ティ)」は「Ti (Tea) – a drink with jam and bread」となっています。
イタリア語音名の♯は「diesis」♭は「bemolle」で表されますので,厳密には「ファ♯」は「Fa diesis」,「シ♭」は「Si bemolle」と言います。
ドイツ語音名
ドイツ語音名は「CDEFGAH(B)」です。日本音名と同じく「C」がイタリア音名の「ド」に対応します。読み方は「C(ツェー),D(デー),E(エー),F(エフ),G(ゲー),A(アー),H(ハー)」です。「シ♭」は「B(ベー)」となります。また,#は「is(イス)」,♭は「es(エス)」がつくような形となっています。
ドイツ音名では「ラ」の音が「A」に対応しています。この「ラ(A)」の音は440Hzの調律の基本ピッチとなっています。(Aの高さは多くで440Hz〜444Hzが採用されているようです)
日本語音名
日本語音名は「ハニホヘトイロハ」です。「いろは歌」で割り当てられており「イ」の音がイタリア音名の「ド」に対応します。ドイツ語音名とも同じく「ラ」の音が基準になっているようです。
あまり単独の音名を指す時には聞かないかもしれませんが,♯系は「嬰」♭系は「変」を使って表現します。
英語音名
英語音名は基本的にはイタリア語音名と同じですが,「シ」の音は「B」として表されます。ドレミの歌とは必ずしも同じではないようです。
♯系は「sharp」,♭系は「flat」とそのまま音名にくっつけて読みます。
長調と短調
長調と短調は次のようになります。
イタリア語 | ドイツ語 | 日本語 | 英語 |
maggiore(マジョーレ) | dur(ドゥアー) | 長調 | major(メジャー) |
minore(ミノーレ) | moll(モール) | 短調 | minor(マイナー) |
基本的には音名の後にこの長調と短調の単語をつければ調性を表すことができます。英語はドイツ音名の音と組み合わせます。
例えば,以下のようになります。
- ハ長調はDo maggiore(伊),C-dur(独),C major(英)
- 変ホ長調はMi bemolle maggiore(伊),Es-dur(独),E flat major(英)
- 嬰ハ短調はDo diesis minore(伊),Cis-moll(独),C sharp minor(英)
まとめ
普段,ドレミを使っている人にとって「ドレミは何語?」と疑問があったかもしれませんが,答えは「イタリア語」でした。それ以外にもドイツ語,日本語,英語についても紹介しました。色々混ざっているかもしれませんが,私の周りでは「ドイツ語」が使われていることが結構ありました。覚えなくてもピアノは弾けますが,今回紹介した4つ言語での「ドレミ」は色々な場面で使われます。私は弦楽器や合唱と一緒に弾かせてもらった時にはドイツ音名が分かっていたおかげで練習や本番で苦労がなかったので,色々な言語の音名は覚えていて損はないと思います!
ゆきふり