ピアノの上達のために:バッハに取り組んでみる!【まずはバッハへの苦手意識をなくす】

ピアノ

ピアノを弾く人であれば,誰もが上手くなりたい,憧れの曲を弾けるようになりたいと思うと思います。
今回はピアノを上達する上でほとんどの人が通るバッハについて記事にしてみます。
ピアノを弾く上でバッハの大切さを感じている人は多いと思いますが,苦手であまりやってこなかったという人もいるかもしれません。
私はバッハはずっと苦手意識がありました。この記事を通して今は苦手意識のある人に少しでもバッハとの距離を縮めるきっかけになればと思います。

ピアノを弾けるようになるために必要な要素は?

ピアノを弾くために必要な要素については色々な考え方もあると思います。
音楽的な要素や技術的な要素など細かく考えれば星の数ほどありますが,大きく以下のようなものが挙げられるかと思います。

  • 音楽的要素(緩急,音のバランス,旋律の弾き方など)
  • 技術的要素(細かい動き,跳躍,右手と左手の独立など)
  • 読譜力(初見,初見以外の楽譜を読む速さなど)

ピアノを弾く上で重要となるこれらの要素を効率良く身につけるためには,これらが総合的に向上する曲を練習するのが良いと考えられます。

バッハの曲集を弾けるようになると色々の曲が弾けるようになる!?

ピアノを上手く弾けるようになるための基本的な要素として挙げたものは様々な曲の練習を通して身につけるということももちろん大切です。
総合的な力として身につけるためにここではバッハの曲集をおすすめします。

小さい頃からピアノをしっかり練習してきたという人は誰もがバッハの曲集(例えば,インベンションやシンフォニア)を弾いていると思います。
バッハと聞くだけで苦手意識がある人もいらっしゃるかもしれません。
私は小さい頃,フレーズが分からなかったり,次々とメロディが出てくるという音楽の流れが分からずバッハがとても苦手でした。
ベートーヴェンやショパンをはじめとした当時弾いていた曲に比べて,左手にメロディの動きがあることから慣れないヘ音記号の譜読みに苦労したり,左手の動きが上手くできないことから技術的にも弾きたくないという意識もありました。

そんな私でしたが大人になってからバッハの曲が大切だと思うようになり,かなり積極的に弾くようになりました。その主な理由としては音楽の基本的な要素が詰まっているだけでなく,

  • 色々な曲を弾くにあたり「右手と左手が対等に動くこと」が大切である
  • 色々な音楽を触れる上でフレーズの考え方などの基礎のたくさんの要素が詰まっている
  • 時間の淘汰を受けていて,多くの人が時間をかけて取り組んでいる

といった様々なことを感じるようになったからです。

バッハを練習するハードルと苦手意識

バッハの音楽が好きという人やもともと苦手意識がないという人も多いのですが,私の周りではバッハが苦手である人や好きではないという人が結構いらっしゃいます。
この苦手であるという人の中には技術的に難しい(左手の細かい動きやトリルなどができない)ということだけでなく,ベートーヴェンやショパンなどと比べて音楽が無味乾燥に聴こえるということを理由に挙げる人もいらっしゃいます。

バッハがつまらないという人の多くはインベンションやシンフォニアの教育的な練習や演奏が原因かもしれません。
おもしろく感じられないのは習っている先生の指導方法によるところもあるかもしれませんが,バッハの曲をほとんど知らないまま弾いているということも原因のひとつだと思います。
レッスンの課題で弾いている曲以外にも様々な曲があるということをしっかり知っていればバッハとの距離は縮まると思いますし,弾いてみたいと思うバッハの曲も見つかるかもしれません。

以下では,バッハのインベンションやシンフォニアを弾いていて楽しいと感じられていない人に対して聴いてほしい曲を3曲紹介しますので,バッハが苦手で距離感があるという人はぜひ聴いてみていただければと思います。

バッハが苦手な人に聴いてほしいバッハの曲

1.パルティータ 第3番(Partita No. 3 in A minor BWV 827)

1曲目はパルティータ第3番(BWV 827)です。
「パルティータ」と聞くと,無伴奏ヴァイオリンの曲を想像されるかたもいらっしゃるかもしれませんが,こちらはピアノ曲のパルティータです。
ファンタジア,アルマンド,クーラント,サラバンド,ブルレスカ,スケルツォ,ジーグの7曲からなります。
1曲目から聞くと「またいつものバッハの曲か」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが,少し飛ばして10分50秒あたりから始まるブルレスカ13分15秒あたりから始まるスケルツォ14分05秒あたりから始まるジーグを聴いてほしいと思います。

紹介したYouTubeの演奏は曲と曲の音楽の流れも爽快で,聴いていて気持ちの良い音楽ではないでしょうか。
インベンションなどではゆっくりとしたテンポで落ち着いて弾くというレッスンを受けている人もいらっしゃるかもしれませんが,曲に進行感があるとかなり印象が変わると思います。
特に,おすすめしている後半の曲では舞曲のような進行感で次々のメロディが流れてくるのでインベンションやシンフォニアとはまた違った印象を受けるのではないかと思います。

2.イタリア協奏曲(Italian Concerto in F BWV 971)

2曲目はイタリア協奏曲(BWV 971)です。
全3楽章からなる協奏曲です。協奏曲とはいうものの,オーケストラや弦楽合奏との協奏というわけではなく,もともとはチェンバロを想定した曲となっています。
現在では多くの場合,ピアノで演奏されます。

インベンションやシンフォニアでは強弱の記載がなく,両手が2声部や3声部でずっと動き続けることが求められますが,イタリア協奏曲はf(フォルテ)とp(ピアノ)が区別されており,曲の中で左手で明らかに伴奏を演奏する部分があります。
明確にテーマの音楽が何度も出てくるので「バッハは分かりにくい」という先入観を持ってしまった人でもこんなに明るく楽しく分かりやすい曲があるのかとハッと感じることもあるかもしれません。

この曲を自在かつ色彩豊かに演奏するためには,技術的に非常に難しいレベルのものが求められます。
こうした曲がレパートリーに入ると自分のピアノの演奏レベルがかなり上がると思いますので,気に入った人はぜひ挑戦してみていただければと思います。

3.ブランデンブルク協奏曲 第3番(Brandenburg Concerto No. 3 in G major BWV 1048)

3曲目はブランデンブルク協奏曲第3番(BWV 1048)です。
とても有名な曲なので聴いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
格付けチェックなどでもしばしば聴くことがあるかもしれません。

この曲はどちらかというとインベンションやシンフォニアの要素がそれなりにあると感じます。
楽器はヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,チェンバロ(編成によってはコントラバスもあり)ですが,ヴァイオリンは3パート,ヴィオラも3パートに分かれていて,ピアノ曲よりもパート数がとても多く複雑な構成になっています。
パートの多さによってピアノとはまた違った,折り重なるような音楽を感じられるのではないでしょうか。

この曲は弦楽器で演奏されているため強弱がはっきりしていることも特徴と思います。
さらに,曲の中で調性がかなり変わるので同じフレーズが長調になったり短調になったりするというところもとても楽しく感じられるかもしれません。
こうしたピアノ曲以外のバッハの曲も聴いてみると,音の使い方やフレーズを理解できるようになりインベンションなどの曲の捉え方も変わってくると思います。

まとめ

ピアノを上達するために必ず通ると言っても過言ではないバッハの大切さ苦手意識のある人に向けて聴いてほしい曲を紹介しました。
バッハと聴くだけで敬遠してしまう人はまず曲を聴いてバッハにもカッコいいピアノ曲があることや複雑な曲でも楽器が増えると聴こえ方が変わることを知るとバッハとの距離が少しずつ縮まると思います。
私は小さい頃にこうした曲を聴いていればもう少しバッハが好きになったかもしれません。

まずはバッハとの距離を縮めてその上でバッハの曲に取り組めると,技術的にも音楽的にも効率良くレベルが向上できるのではないかと思います。
バッハの練習方法は人それぞれだと思いますが,実際に曲に取り組むときに挫折してしまうポイントもありますので,私なりにバッハの練習方法についても少しずつ紹介できればと思います。

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