初心者や子どもにおすすめの曲の紹介:【モシュコフスキー:タランテラ】

ピアノ

イヴェットのためのソナチネに続き,今回も初心者や子どもにおすすめの曲を紹介していきます。
今回は「モシュコフスキー:タランテラOp. 77-6」です。

モシュコフスキーってどんな作曲家?

モシュコフスキーは1854年生まれのポーランド出身の作曲家です。作曲家でありながらピアニストでもあった,いわゆる「コンポーザーピアニスト」だったようです。また,ピアニストとして成功を収めているだけでなく,ヴァイオリンや指揮者としても活躍していたという話もあるようです。

これまでモシュコフスキーという作曲家を聞いたことがないという人もいらっしゃるかもしれませんが,音楽的にとても魅力のある曲をたくさん作曲しています。
小さな楽器屋さんや本屋さんの楽譜コーナーなどではなかなか取り扱っていないかもしれませんが,少し前に私の住んでいる近所の楽譜売り場でモシュコフスキーを探してみたら「スペイン舞曲」の楽譜が置いてありました。まだまだ楽譜を入手する難易度は少し高いかもしれません。

タランテラOp.77-6について

どんな曲?

今回取り上げるタランテラは「10のかわいい小品 Op.76」の6曲目に収録されています。
ブルグミュラーにも有名なタランテラがありますが,「タランテラ」とは3/8または6/8拍子のテンポの速い舞曲でとても激しい踊りのことです。どのくらい激しいかというと「毒グモのタランチュラに刺された時の毒を紛らわすくらいの激しさ」とも言われているようです。(とにかく激しいイメージでしょうかね。)

曲は同音連打が出てくる非常にリズミカルな曲で,最初はニ短調で始まり,途中は「同主調(同じ♯や♭の数の調)」のヘ長調に転調します。また,ヘ長調の中でもヘ短調の和音を使う部分もあり,曲の調性が目まぐるしく変わるのがとても弾いていて快感です。
ヘ長調の後はニ長調に転調してより明るい部分が続き,また最初のテーマであるニ短調に戻ります。曲の構成はかなり分かりやすく,メロディの動きもとてもはっきりしています。

曲の難易度は?

小学生でもこの曲を弾けるというレベルの人はたくさんいらしゃると思いますが,あとの演奏動画を見ていただいてもわかるように大きい手は必要ありません
タランテラは曲をある程度の速いテンポでリズミカルに演奏する必要があるので,左手の速い動きが苦手という人は苦労するかなと思います。しかし,ハノンやリトルピシュナなどの基礎練習をある程度やって指がちゃんと独立できているという人であればすぐに弾けると思います。

切れ味のある音でタランテラのリズムを出して弾くというと修練が必要だと思いますが,とりあえずゆっくりでも弾いてみるという意識であれば,同音連打や分散和音など基本的な技術が要求されるものの,技術的に難しいところはそれほど見当たらないかなと思います。個人的な印象ですが,ソナチネがある程度弾けるレベルであれば十分弾けるのではないでしょうか。

曲は全体として8分音符の細かい動きが多いですが,動きは基本的にはスケールとアルペジオの基本的な動きが多いので複雑で分かりづらい動きはないと考えて良いと思います。ただ,保持音(弾いたままにする音)があるので苦手な人はこの保持音にも苦労するかもしれません。

なお,保持音の練習にはピシュナやリトルピシュナが大変おすすめですので上手くいかないと感じている人はやってみましょう!(以下でリトルピシュナについて記事にしていますので良かったらみてください!)

演奏動画

参考になりそうな演奏動画がありました。小学生で手がそれほど大きくないですが,とても粒立ちがきれいでフレッシュな演奏をされています。

楽譜はこちら

楽譜はSchirmer社の「モシュコフスキーピアノ作品集」が最も手に入りやすいです。
この楽譜には「10のかわいい小品」のいくつかだけでなく,「火花」や「スペイン舞曲」といったモシュコフスキーの代表的な曲も収録されています。

1曲のみが収録されているピアノピースのようなものもありますが,値段と曲数を考えるとSchirmer社のものが一番良いと思いますし,タランテラ以外にも弾いていて楽しい曲はたくさんありますので,ぜひ購入してみることをおすすめします!
ただ,Amazonには残念ながら在庫がないようです(2020/8/15時点)。

中級者以上にはモシュコフスキーの15の練習曲も!

以前記事にもしていますが,モシュコフスキーには「15の熟練のための練習曲 Op.72」という素晴らしいエチュードも作曲されています。「練習曲」というとかなり敬遠されるかもしれませんが,練習曲とは思えないくらい魅力的な曲ですし,もし右手と左手を対等に扱いかつメロディがはっきりしている練習曲を弾いてみたいという人は挑戦してみると良いと思います。

私も15の練習曲の存在を知ったのはピアノを始めて20年近く経ってからでしたが,もっと早く出会って丁寧に練習しておけばもっと上手くなれたのになと思うような曲です。
多くの人がショパンのエチュードの導入として使ったという話もあるように,難易度はショパンエチュードの一歩手前というイメージでいると間違いはないと思います。ショパンエチュードに1曲でも挑戦したことがあるという人はこちらの練習曲にもぜひ挑戦してその曲の魅力を体験していただければと良いと思います。

まとめ

今回は初心者や子どもにおすすめな曲として「モシュコフスキーのタランテラ」を紹介しました。
和音が次々と変わっていく音楽はまさにポップスにもつながるような曲だと思いますし,曲のイメージもとても掴みやすいと思います。
初心者や子どもにおすすめとしましたが,もちろん中級者以上であってモシュコフスキーは弾いたことがないという人はぜひトライしてみてください。とても弾いていて楽しい曲なのでハマる人はハマると思います。

ゆきふり

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