リトル・ピシュナの劇的な効果(メリットとデメリットを解説!)

ピアノ

リトルピシュナの劇的な効果

リトル・ピシュナという曲集を聞いたことがある人はいますか?

私がピアノを習っていた小学生の頃は聞いたことがなく,近年,ハノンに変わる練習教材としてしばしば取り上げられることがあります。ここではリトル・ピシュナの効果について解説していきます。

(2021/7/4更新)

ピシュナやリトルピシュナについては,こちらの記事も参考にしていただければ幸いです。

リトル・ピシュナのメリット

ピシュナとリトル・ピシュナの内容は基本的に共通しています。リトル・ピシュナの主なメリットとしては以下のものが挙げられます。

  1. 効果を実感しやすい。
  2. 楽譜を読む練習になる。
  3. 右手と左手が異なる動きをする。
  4. 半音ずつ全ての調に触れることができる。

効果を実感しやすい

ハノンもたくさん練習すると効果を実感できますが,リトルピシュナの最大の魅力は効果を実感しやすいということです。具体的には,保持音が1つのものや2つ以上の練習が多く取り込まれており,指を一本一本独立させるために非常に効果的な練習が多くあります。

一音以上を押さえつつ,他の指で伴奏やメロディを弾くというのは,曲を弾いていく上では重要な技術ではありますが,それに特化した練習をしたことはありますか。

結構ピアノを弾いてきたという人でも保持音を抑えたまま他の指を自由に動かすということは難しいと感じる人もいるかもしれません。リトル・ピシュナは指が他の指につられて動いてしまうような音形の練習が多いため,今まで指がつられて動いていた人にとってはすぐに指が自由に動くように感じます。

楽譜を読む練習になる

リトル・ピシュナは多くが右手はト音記号,左手はヘ音記号の基本的な楽譜となっており,五線譜を大きくはみ出した曲はそれほど多くありません。譜読みを慣れるということを考えるとうってつけの曲集であるといえます。

ト音記号とヘ音記号の基準となる五線譜の中心の線からどのくらい離れているのかを確認しつつ,様々な音形を楽譜を見ながら練習していくことで譜読みの力がつくことは間違いないと思います。

譜読みの方法については,以下も参考にしてみてください。

基礎練習は一つのパターンを覚えてしまえば,後は楽譜を見なくても弾けるようになってしまいますが,私はあくまで楽譜を見続けて練習をすることをおすすめします。ハノンなどでは,楽譜から目を離して練習してしまう人もいますが,弾いている位置からどのくらい先を見れば良いかなど目線の動きが重要であることが分かります。

右手と左手が異なる動きをする

ハノンでは右手と左手が基本的に同じ音形であり,オクターブで同時に弾くことからアラが目立たないですが,リトル・ピシュナは基本的に右手と左手が異なる動きをするため,独立した動きが練習時から求められます。

基本的な動き(テーマ)の動きは単純かもしれませんが,初めて取り組むと頭がこんがらがって基礎練習なのに弾けない(譜読みが必要)と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし,実際のピアノ曲のほとんどが右手と左手で異なる動きをするため,リトル・ピシュナで求められている練習はピアノを弾くうえでは非常に合理的な練習方法のひとつであると考えられます。

半音ずつ全ての調に触れることができる

リトル・ピシュナで取り上げられている多くの曲は最初の基本的な音形(テーマ)が半音ずつ上がっていくような構成になっており,12回転調して最初の調に戻ってくるまで繰り返されます。

ハノンを普通に使用していくと,ハ長調の練習が多くなってしまいますが,リトル・ピシュナは普通に使用していくだけで黒鍵の多い調についても自然と触れることとなります。

そのため,黒鍵と白鍵による自分の弾き方のくせやあまり弾きなれていない調の練習も含まれるため,いままで基礎練習は白鍵でしか取り組んだことのない人にとっては衝撃を受けるような練習かもしれません。

実際に和音が徐々に変わっていくのを聴きながら練習すると,和音の響きを聴く能力が育つだけでなく,単調な基礎練習も楽しく感じられるかもしれません。

リトルピシュナで特に効果を感じられた曲についてはこちらの記事も参考にしていただければと思います。

リトルピシュナのデメリット

メリットが非常に多いリトルピシュナですが,デメリットとしては以下の点が挙げられます。

  1. 手が小さいうちは手が届かない(指の間が広がらないと弾けない)。
  2. 使い方を間違えると手をケガをする可能性がある。
  3. スケールやアルペジオの練習のハードルが少し高い。

手が小さいうちは手が届かない(指の間が広がらないと弾けない)

手が小さいうち(あまり指が広がらないうち)は1オクターブの和音押さえるような曲(減7の和音をすべての指で押さえるような曲)は指の間をかなり広げないと届かないため,挑戦するとかなりしんどいかもしれません。

指を広げるような練習をしたことがない人にとってはとても効果的な練習ではありますが,曲として取り組めない可能性もあるため,モチベーションが下がってしまうことも考えられます。そのため,小さい頃からリトル・ピシュナをバンバンこなすのは少し難しいかもしれません。

大人になってから始める人にとっても,指の間が広がらず,曲集で要求されているように弾けずにもどかしく感じることもあるかもしれません。

ただし,これらのことは徐々に時間をかけていけば,指の間も開いて弾けるようになるので焦る必要はありません。

使い方を間違えると手をケガをする可能性がある

効果は非常に高いのですが,指の間を広げたり,指の神経が他の指に引っ張られないような動きをすることで手を痛めてしまう可能性があります。

リトル・ピシュナの解説(全音楽譜出版社)では,以下の点は手を痛める原因になると記載されています。

  • 長時間弾きすぎること
  • テンポを速く弾きすぎること
  • 力の入った状態で強く弾きすぎること

機械的な練習に終始してしまうと,こうした過度な負荷をかけた練習となってしまう可能性がありますので,まずはモデラートでメゾフォルテといった弾きやすい状態からスタートし,徐々に負荷をかけていく必要があると思います。これはある種の筋トレと同じイメージだと思っていただければと思います。(例えば,腕立てがほとんどできない素人がいきなり腕立てを100回を毎日するのは確かに無謀かもしれませんね。)

スケールやアルペジオの練習のハードルが少し高い

リトル・ピシュナの中にもスケールやアルペジオの練習は含まれていますが,ハノンのように両手で同じ音形を弾く練習ではないため,基本的な動きを習得するまでに少しハードルが高いかもしれません。

私はスケールやアルペジオはハノンで学んでからリトル・ピシュナに取り組んだので,あまり苦には感じませんでしたが,最初からリトル・ピシュナでスケールやアルペジオを身につけるのは大変かもしれません。

また,両手で華麗なスケールが含まれる曲については,リトル・ピシュナだけでどこまで対応できるのかは未知数ですので,スケールやアルペジオに特化した練習についてはハノンなどで身につけた方が良さそうです。

リトルピシュナをおすすめできる人

非常に効果が高く万人におすすめできる曲集ではありますが,メリットとデメリットで見てきたように,必ずしも全員に非常に高い効果が発揮されるとは限りません。自分に合った練習や曲集を見付けることが大切です。

その中で,リトル・ピシュナに取り組んで特に効果を感じやすいという人は以下のような人ではないでしょうか。

  • 指は動くけど楽譜を読むのが苦手
  • 練習の効果をすぐに実感したい
  • 黒鍵の入った曲にまだ抵抗がある
  • 大人になってからピアノを始めた など…

基礎練習は根気がいるものですが,少し練習した後に自分の指が見違えるように動いたらとても楽しく感じると思います。

今まで基礎練習に全く取り組んだことがない人には少しハードルが高いかもしれませんが,非常におすすめの曲集ですので,ぜひ全曲弾けるようになることを目標に挑戦してみるのはいかがでしょうか。

ちなみにリトル・ピシュナより難しい基礎練習としてピシュナという曲集もあります。リトル・ピシュナは全曲なんとか形になるという人であっても,ピシュナは難しくまたマスターするまでにかなりの時間がかかるようです。私もピシュナは目下,挑戦中です。

リトル・ピシュナの技術が身につけば,大抵の有名な曲を十分に弾きこなせるだけのテクニックが身につくと思いますので,基礎練習に何をやろうか悩んでいる人はぜひ取り組んでみることをおすすめします。

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