一生に弾ける曲の数を増やすには

ピアノ

ピアノに限らず楽器を演奏する人は誰しもが弾いてみたい曲あるいは弾けるようになりたい憧れの曲があると思います。

残酷な話ではありますが、自分の人生で弾ける曲には上限があります。無限に時間を使える訳ではないので、本当に弾きたい曲や弾けるようになりたい曲を弾くためには「曲を弾けるようになるまでの時間」をできるだけ短くする必要があります。

曲が弾けるまでにかかる時間を短くするためには?

曲が弾けるようになるまでにかかる時間は曲の難易度と自分の弾きたい曲をどのレベルで仕上げたいかによって変わります。これらのレベルについては概ね以下の通りになるのではないでしょうか。

難易度

  • 初見で弾けるレベル
  • 数回弾いたら身につく技術・表現に苦労がないレベル
  • 一部の技術・表現に難しいレベル
  • 全体的に技術・表現が難しいレベル

到達したいレベル

  • 自分が満足するレベル
  • 他人に喜んでもらえるレベル
  • コンクールなどで入賞するレベル

弾けるまでにかかる時間を短くするためには、

  • 初見力をつける
  • 基礎テクニックを向上させる
  • 作曲家の語り口を知る(曲を理解する)
  • 練習方法を改善する

弾けるまでの時間を短くする方法について順番に見ていこうと思います。

初見力をつける

自分が弾いてみたい曲が1回の譜読みで弾けるようになれば、あらゆる曲を弾きこなすことができるので、最強のスキルの一つと言えるのではないでしょうか。

しかし、曲が一定以上の難易度になると初見で弾くことは難しくなります。これには以下が原因と考えられます。

  • 技術力不足
  • 楽譜を瞬時に捉えることができない(瞬間的に認識できる音符の数が少ない)

私も非常に初見が苦手です。大人になってから少しずつ訓練を積んでいます。徐々に成長していることは感じており、初見でソナチネレベルの曲をなんとか止まらずに弾くことができるようになりました。

徐々に簡単な曲から挑戦して,楽譜アレルギーをなくして初見で弾けるレベルを上げることが,たくさんの曲をこなす上で必要な技術の一つだと考えられます。

基礎テクニックを向上させる

曲を弾くのであれば基礎テクニックは避けて通れません。例えば、スケールが全ての調で弾ける人はスケールを練習する必要はありません。また、同音連打が得意な人はその部分についてもほとんど練習せずに弾けるようになります。

このように自分の技術の幅を広げておくことが曲を弾く上では重要になります。弾きたい曲の弾きたい部分の技術だけを身につけるのではなく、それ以外の技術も幅広く身につけることで演奏にも余裕が出てきます。

自分が苦手な音型を理解することが重要だと思います。ハノンやツェルニー、ピシュナなどの教材でやったことない部分に取り組むのも良いです。

小さいころにピアノをやっていたけど、あまり弾けなかったという人は、自分の苦手な練習をあまりしていなかったのではないでしょうか。少なくとも私の周りには得意な練習や曲は弾くものの、苦手な曲は手をつけなかっという人が結構います。

自分で演奏や弾ける曲の幅を狭めてしまうのはとてももったいないことだと思います。

作曲者の語り口を理解する(曲を理解する)

音楽は時代によって、様式や曲の捉え方がかなり異なりますが、もう少し細かく見ると、作曲者ごとに特徴があります。

曲の根本的な部分はバッハやハイドン、モーツァルトといった古典にあたるを曲を理解することが重要になりますが、ロマン派の素晴らしい曲を弾く上では古典の考え方以外にも重要になってくる技術があります。

そのためには同じ作曲家の曲をたくさん聴くことが重要になります。モーツァルトの弦楽四重奏や交響曲を弾くと、内声やチェロ、コントラバスの八分音符のイメージがガラッと変わりますし、リストやラヴェルの交響詩を聴くと,オーケストラで表現された場合とピアノで表現された場合の表現のアプローチが少し違うと感じることがあるかもしれません。

練習方法を改善する

色々な人や本でも練習方法について書かれている本があります。良い練習については色々なことが書かれていますが,良くない練習方法として共通しているものはあります。

それは【最初から最後まで通して何度も練習する】ということです。

ピアノの練習だけでなく,スポーツでもできないことをできるようにしていくことがとても重要です。

練習方法として代表的なものには以下のものがあります。

  • 片手ずつ弾く
  • テンポをゆっくり弾いて止まらずに弾く
  • 2~3小節ずつ繰り返す

これは譜読み~練習初期の段階の一般的な方法であり,曲を仕上げるためには,自分のテクニックや読譜力の向上も必要です。

簡単な曲が仕上がるまでの時間

基礎力を図るバロメータとして「簡単な曲を満足に行くまでに仕上がる時間がどのくらいかかるのか」ということがあります。同じ練習量でもより高いレベルの曲を弾けるようになれば,弾ける曲はどんどん増えていきます。

1曲を満足に行く演奏にするまでにかかる時間を短くすることができれば多くの曲に取り組むことができるはずですが,皆さんはいわゆる自分が思う簡単な曲を人前で弾けるレベルにするまでにどのくらいの時間がかかるでしょうか。

とても簡単な曲のはずなのに,暗譜しないと弾けないとか指がまわらない,転んでしまうということがあるかもしれません。意外とやってみるとブルグミュラーくらいの楽譜のレベルでも人前で弾いても大丈夫かなというレベルになるのはかなり時間がかかることに気づくと思います。

曲の難易度によっても変わりますが,1曲が弾けるようになるのに100時間かかってしまう間は,1週間で10時間の練習時間が取れる場合でも3か月弱の期間がかかってしまいます。そうすると,年間で弾けるようになる曲はたった4~5曲です。

一方で,1曲が弾けるようになるまで5時間で終わる場合は,その20倍の曲を弾きこなすことができます。

年間で5曲しか満足に弾けない場合は,インベンションやシンフォニアの全30曲をこなすのに6年もかかりますが,年間100曲こなせる人は4か月程度で完成します。皆さんは一生に自分の弾いてみたいと思っている曲がいくつあるでしょうか。

もちろん,たくさん曲に取り組んでいくうちに曲が仕上がるスピードは徐々に上がりますし,何より達成感がありますので,簡単な曲を短い時間で仕上げるというアプローチは非常に重要だと思います。

最後に

私が一生に弾きたい曲はまだ100曲では済まない数があります。練習時間が取れない日も多く,基礎練習もしないと…と思うと,若いうちに弾いてみたい曲が弾けるようにならない可能性もあります。

皆さんにはピアノで叶えたい夢はありますか。

ピアノを弾いているということは何かやってみたいことやできるようになりたいことがあるからだと思います。弾いてみたい曲がたくさんある人は小さいステップから徐々に大きな山に登れるように準備をしていく必要があるのではないでしょうか。

弾ける曲のレパートリーを増やすための今よりもレベルの高い世界へ踏み込むためには,自分に合った効果的な練習方法と簡単な曲からのステップアップが欠かせません。自分でも様々な曲を弾きこなせるように気づいたことを皆さんとご共有できればと思います。

ゆきふり

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