音色のコントロールのために【鍵盤を押す速度と2つのコツ】

ピアノ

ピアノの音色は鍵盤を押す速さと深さで決まります。以前,大きな音の出し方について考察していますが,今回は小さい音を含めた音色のコントロールのためのコツを記事にしてみます。

鍵盤を押す速度について

鍵盤を速く打鍵する場合

ピアノを弾くとき,鍵盤を押す速度が速いと鋭い音が鳴ります。大きな音を出したい場合はピアノの鍵盤を速く,そして深く打鍵する必要があります。では,もう少し根本に返ってみて「鍵盤を速く押す」にはどうすれば良いのでしょうか。

技術的な方法として,脱力をするとか腕の重さを使うために肘を高く上げないとかそういった姿勢に関するコツが紹介されていることもあります。そういった技術が紹介されている中,大きな音を出すための方法として鍵盤の上から叩きつけるように弾くということが紹介されていることはありません。鍵盤を強く叩くと言う方法としては容易に想像がつくのですが,こういった理由は紹介されていません。

鍵盤をゆっくり打鍵する場合

鍵盤をゆっくり打鍵すると,小さな音というが出ます。小さいというよりは「まろやか」「あたたかい」という言葉の方がしっくりくる方もいらっしゃるかもしれません。鍵盤をゆっくり打鍵するという技術は曲中で自在に使いこなすのはピアノを弾いて何年も経つ方でも難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。小さい音を安定して出すためには,このゆっくりとした打鍵を続けるという必要があり,この後でも触れますが,曲によってはゆっくりとした打鍵で鍵盤を下まで押すというコントロールの必要もあると思います。

「小さい音で」というときに「そっと弾く」という動作を考えると「ゆっくり打鍵する」というイメージがつかめるかもしれません。

鍵盤を押す深さについて

鍵盤は一番下まで打鍵する?

次に鍵盤を押す深さについて考えてみます。ピアノの鍵盤は当然ですが,深く打鍵するほど大きな音が出やすく,使い方によってはどっしりとした音を出すことや倍音を使った響きを出すことも可能となります。大きな音で重厚に弾くという場合はもちろん鍵盤を一番下まで打鍵することとなります。そのときには,多くの場合,素早く一番深く鍵盤を打鍵するかもしれません。

ハノンやリトル・ピシュナなどで鍵盤を一番下まで押して弾くというのは曲の響きというよりははっきりとした打鍵を身につけるためのものですが,初めのうちは鍵盤に指おいて一番下まで打鍵しようとしても音が鈍くなってなかなか上手くいきませんが,徐々に指が独立してくると自然な手の形でかつ素早い動きで鍵盤を一番下まで打鍵できるようになります。

鍵盤を一番下まで打鍵しない場合

ついている先生によっては鍵盤は基本的に一番下まで押すということを習うこともあるかもしれませんが,曲によっては鍵盤を一番下まで使わない方が適した音が出ることもあります。使い分けを考える代表例としては以下のものがあります。

軽くて速い曲を弾くとき

極めて小さい音で弾くとき

恐る恐るした音を表現したいとき

普段から鍵盤を一番下まで打鍵していると,打鍵の深さを半分にするという調節はすごく神経がいる上,すぐにできないこともありますが,別れの曲の内声部や右手で演奏する細かい分散和音は鍵盤を一番下まで押さないという

こうした表現に応じてピアノの打鍵をコントロールすることとなりますが,音のコントロールのためのコツを紹介します。

まずはやってみる!音のコントロールのための2つのコツ

鍵盤は押す場所によって必要な力が変わります。音のコントロールへの第一歩として2つのコツを紹介します。

  1. できるだけ鍵盤に指をつけて弾く
  2. 鍵盤の手前と奥を使い分ける

できるだけ鍵盤に指をつけて弾く

鍵盤を押さない限りはピアノは音が鳴りませんので,とても極端に言えば,鍵盤を押す以外はどんな動きをしても「打鍵するときに適切な速さと深さで打鍵できていれば」音にはあまり関係ありません。

できるだけ大きな音を出す場合,ちゃんとトレーニングをすれば鍵盤の上に指をつけてから弾いた方が大きな音が出ます。空中から振り下ろした方が大きな音が出るだろうと思う人もいらっしゃるかもしれませんが,空中から振り下ろす場合,鍵盤を押す速度が一番速くなるのは鍵盤にぶつかる瞬間でその後に減速してしまいます。

また,鍵盤に指をつけて弾くことによってあとは指を落とす動作だけになるため,音のコントロールもしやすくなるだけでなくミスタッチも減ります。弾くときに指を鍵盤よりもかなり高く上げてしまう人は少し気をつけてみると一気に上達できるかもしれません。

鍵盤の奥と手前を使い分ける

鍵盤を押すときに手前と奥のどこを弾くか考えると音のコントロールはすごく楽になります。ピアノの鍵盤はテコの原理を使って打鍵するためのハンマーを動かしています。そのため,鍵盤の奥を使うと力が伝わりにくくなるため,音のコントロールをするのはすごく難しくなります。

小さい音を出したいという場合は白鍵でも黒鍵でもできるだけ鍵盤の手前を使うとやりやすくなります。もし,やってみたことがない人は,いつも弾いている位置から数ミリ手前や数ミリ奥に手を置いて弾いてみるだけで音のコントロールのしやすさが劇的に変わりますので,手を手前に数ミリ移動させて小さい音や大きい音を出して試してみていただければと思います。

まとめ

音色のコントロールのために比較的簡単に実践できるコツを2つ紹介しました。自分の出したい音をコントロールして出すことが難しいとき,技術を身につけるという地道な練習ももちろん必要となりますが,打鍵をコントロールしやすくする方法も使うということも大切だと思います。私もこうしたちょっとしたコツを意識してちょっとずつでも毎日上手くなりたいなと思います。

ゆきふり

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