トリルを速く弾くための練習方法【神経を分離して指を動かす】

ピアノ

トリルを速く弾けるようになりたい

トリルを演奏するのは得意ですか。
私はトリルがすごく苦手で少し長いトリルが出てくるという理由で「仔犬のワルツ」を弾くことを敬遠していたくらいです。
過去にトリルの練習方法についての記事も記載していますが,今回は以前の記事に加えてトリルの練習方法を考えてみましたので紹介します。

過去の記事についてはこちらをご参照ください。

トリルが速く弾けない理由は?

指の上げ下げが俊敏にできない

トリルの弾き方には指を高速で動かす「指を使う方法」と手首を回転させる「手首を使う方法」がありますが,速くきれいなトリルを弾くためには,指を独立させて指を高速で動かすことのできる「指を使う方法」による技術をしっかりと身に着けておくことがかなり重要です。
あまりトリルを弾くのが得意ではないという人は「指を動かせていない」ということが原因となる場合が多く,私は指をちゃんと動かせるようになってからトリルが苦手ではなくなりました。
指を動かさず手首を回転させるようにトリルを弾いている人はトリルのスピードを変えることや白鍵だけのトリルと半音や黒鍵が入ったトリルの音色を変えるのにもすごく難しい技術が要求されますので,曲に合ったトリルができないこともあり,一部の人を除いて,ある曲では弾けるけど他の曲のトリルは弾きにくいとトリルを敬遠してしまうことも多いと思います。

指が速く動かない理由と速く聴こえるようにするために心がけること

指を速く動かせれば良いと言うのはすごく簡単ですが,頑張っても速く動かないという人もいらっしゃると思います。
ここでは指が速く動かない理由と速く聴こえるようにするために心がけることを考えてみます。

まず,指が速く動かない理由を考えてみますが,指が速く動かないのはなぜでしょうか。
頭の司令が追いついていないのか,それとも指の筋力が足りないのか,運動神経の問題なのか,といろいろ考えられるかもしれません。
私はトリルが速く弾けないという最も大きな理由として「他の指につられて他の指が動いてしまう」という「指の独立ができていない」ことが原因と考えています。

トリルは細かい動きであるということが頭の中のイメージにあると思いますが,この細かい動きをする中で片方の音を弾き終わる前にもう片方の音を押してしまって,同時に2音の音が混ざってしまうという状態で弾いてしまう方がトリルが苦手な人にはとても多いです。
案外,トリルは速さよりも2つの音が交互に演奏されるときの「明瞭さ」のほうが重要であり,明瞭さに速さが加わることできれいなトリルに聴こえるようになります。
したがって,速く美しいトリル弾くためにはトリルを弾く2つの指を独立させて,2つの音がつながらないようにするということを心がける必要があります。

神経を分離して指を動かす

保持音を利用する

指を独立させるためには,指がくっついて動かないように「神経を分離する」ようなことが自然とできている必要があります。
そのための方法として「保持音を利用した練習」がとても効果的です。

ここで練習の一例を紹介します。一例なので他の指でも練習可能ですが,ここでは一番難しい4と5の指のトリルの練習を前提に紹介します。
ピアノの前に座って「ラドミ」に1から3の指をそれぞれ置いて,右手の場合は4の指で「ファ」,5の指で「ソ」を,左手の場合は4の指で「ソ」,5の指で「ファ」を「ファソファソファソファソ」と弾いてみてください。
※このとき,「ラドミ」の音は鍵盤から離さず,「ファ」と「ソ」だけを演奏します。テンポはすごくゆっくりで構いません。

これをやってみると,かなり単純な動きにも関わらず保持音が外れてしまったり,4と5の指が上がりきらなかったり,数回やっただけで指の間などの筋肉が引っ張られたりすると思います。
「簡単にできますよ」という人は何回できるか挑戦してみてください。数十回弾いていくうちにだんだん指が上がらなくなったり動きが鈍くなる感覚があったりするのではないでしょうか。
いきなり挑戦して「できるわけない」と思う人も1週間くらいやってみるとできるようになりますのでぜひトライしてみていただきたいです。

過去にもトリルの練習方法を紹介しているのでその練習方法とも組み合わせて弾いてみるとより効果は高くなりますので,ぜひ試してみていただければと思います。

弾ける指では手が痛くならない(右手と左手の違い)

先ほどの練習を右手と左手でやってみると,利き手だったり弾きやすい方の手ではできるのに逆の手ではできないとか,利き手じゃないほうが手が痛くならないという左右の手の差が分かるかと思います。

動きそのものは難なくできるようになっても腕立て伏せなどの筋トレと同じく,10回しかできない手と20回やっても平気な手などの特徴も分かってくると思います。
毎日訓練していると,始めは保持音をキープしたまま他の指を動かすということができなかったのが少しずつ動きができるようになるだけでなく,回数もどんどん増やせるようになります。
さらに,限界を迎えた後に少し休んでから別の曲を弾いてみると指がスラスラ動くように感じることもあります。
少しずつかもしれませんが,こうした成長を感じることができるとモチベーションの向上にもつながるのでとても楽しくなります。

リトルピシュナやピシュナにも載っています

このブログでは私が使ってみてとてもおすすめだった教本として「リトルピシュナ」と「ピシュナ」を度々紹介しています。

保持音を利用した練習はリトルピシュナやピシュナを弾くと必ず出てきます。
リトルピシュナやピシュナはハノンのような基礎練習用の教本ですが,同じ音形を半音ずつ上昇していく形となっているので1曲弾き終わると長調と短調でそれぞれ12調の手の形をなじませる練習にもなります。
さらに保持音を使った動きはハノンではあまり出てこないので,もし,保持音を使ったトリルの練習をして効果があった,手が痛くなったけどその後で指が速く動くようになったという人はぜひチャレンジして弾いてみていただければと思います。
私は大人になってからリトルピシュナを手にしましたが,最も短時間で高い効果のあった教本のひとつだと感じています。

ピシュナとリトルピシュナに関してはこちらの記事も参考にしていただければと思います。

まとめ

今回はトリルを速く弾くための練習方法を記事にしてみました。
華麗なトリルを弾けるようになると,曲が楽しく弾けるようになりますし,即興演奏でもトリルは大活躍します。
少し時間はかかるかもしれませんが,苦手意識のある人はぜひ少しずつ練習をしてみて自分の成長を実感しながら新しい技術を身に着けていただければと思います。
ピアノを弾くときには指を上げることにあまり意識が向かないことが多いですが,明瞭な演奏をするために指を上げるという動作がきちんとできるように私も少しずつ訓練を重ねていければと思っています。

この記事が皆さんの役に立てば嬉しいです。

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