ピアノを習っている人の多くはブルクミュラーを弾いたことがあると思います。私がピアノを習っていた時は別の教本を使っていたので基本的にブルクミュラーの曲は弾いたことがほとんどなかったのですが,大人になって初めて弾いてみて音楽的にも技術的にもとても効果的な曲集だと思いましたので,改めて記事にしてみます。
ブルクミュラー25の練習曲はどんな曲か?
練習曲というと面白くないのではないかと思う人もいるかもしれませんが,ブルクミュラーの中の曲の何曲かは発表会でもよく聞くような曲です。アラベスクやバラード,タランテラ,貴婦人の乗馬などは小学生がピアノの発表会で弾いているのを何度も見たことがあります。私はピアノを習っていた時,ブルクミュラーはほとんど弾いたことがなく,初めて弾いたのは大人になってからだったのですが,譜読みもそれほど大変ではないものの,ピアノを演奏する上では重要なテクニックが含まれており,音楽的にも豊かな曲が多いなと感じました。私がブルクミュラーを弾いてみようと思ったきっかけは主に初見演奏を少しでもできるようになりたいということでしたが,弾いて見ると簡単そうに見えて突き詰めると表現が難しい音楽がたくさんあると感じました。
曲の長さや難易度(練習曲であるからには)
練習曲であるからには,ピアノを始めたばかりの人や初心者にとっては少し難しいなという曲も含まれていますが,ピアノの初期のテクニックを学ぶには25曲の中で多くの技術が網羅されていると思います。また,ピアノの中級者以上であれば,初見で弾けるレベルの曲が多く含まれています。私もそうですが,初見が苦手な人は最初は太刀打ちできないかもしれませんが,ある程度の演奏技術がある人にとっては技術的に難しくて弾けないという部分はないと思いますので,ゆっくり間違えないテンポで止まらないように弾くという演奏にはうってつけの曲集だと思います。例えば,楽譜を見ながら演奏することができないという人はそういった練習にも役立ちますし,自分が絶対ミスタッチをしないテンポでゆっくり演奏するという練習に非常に役立ちます。ゆっくり練習については以下で記事にしているので興味のある方は見ていただければと思います。
さらに,音楽的にメロディがデコボコしてしまったり,強弱を緻密に設計する練習についても非常にやりやすい曲集です。音の数がそれほど多くはないので,1音1音の音の設計を細かく考えることができることから,例えば,クレッシェンドやディミヌエンドが書いてある部分について,次の音が前の音よりちゃんと大きくなっているか,または小さくなっているかという部分まで厳密に考えやすいので,中級者以上の人にも自分ができている技術や音楽表現などを整理するためにもとてもおすすめな曲集です。
収録曲一覧
ブルクミュラー25の練習曲には以下のような曲が含まれています。曲目だけではどんな曲か分からないというものもあると思いますが,フランス語のタイトルと共に参考にしていただければと思います。
- 素直な心(La candeur)
- アラベスク(L’arabesque)
- パストラル(牧歌)(La pastorale)
- 小さなつどい(La petite réunion)
- 無邪気(Innocence)
- 進歩(Progrès)
- 清らかな小川(Le courant limpide)
- 優しく美しく(La gracieuse)
- 狩(La chasse)
- 優しい花(Tendre fleur)
- せきれい(La bergeronnettte)
- 別れ(L’adieu)
- コンソレーション(なぐさめ)(Consolation)
- シュタイヤー舞曲(アルプス地方の踊り)(La Styrienne)
- バラード(Ballade)
- 小さな嘆き(Douce plainte)
- おしゃべりさん(La babillarde)
- 気がかり(Inquiétude)
- アヴェ・マリア(Ave Maria)
- タランテラ(La terentelle)
- 天使の合唱(L’harmonie des anges)
- バルカロール(舟歌)(Barcarolle)
- 再会(Le retour)
- つばめ(L’hirondelle)
- 貴婦人の乗馬(La chevaleresque)
参考:全音楽譜出版社
まとめ
今回はブルクミュラー25の練習曲について記事にしてみました。ピアノを習ったことがある多くの人が一度は一曲は弾いたことがあると思いますが,弾いてみると初見演奏の練習や音楽的なミスをなく演奏する練習には非常に効果が高いと感じました。私の印象としては子供はもちろんですが,それ以上に大人になってピアノを始めたという人には大変おすすめです。「ブルクミュラーは簡単だから弾かない」という人も中にはいらっしゃるかもしれませんが,簡単な曲でできないことはやはり難しい曲でもできていない場合もあります。家に楽譜がある人はもちろん,楽譜がない人はぜひブルクミュラーを手に取って弾いて見ると良いと思います。
ゆきふり