ピシュナとリトルピシュナのどちらを選べばよいか
基礎練習の教材としてリトルピシュナが取り上げられることが多い印象がありますがピシュナとリトルピシュナの2つのうちどちらを選べば良いのか分からない人のために、両方使ってみて感じたことやレベルなどを記事にしてみます。
ピシュナとリトルピシュナについては以下の記事も参考にしていただければと思います。
曲の構成について
ピシュナとリトルピシュナの構成は以下のようになっています。(全音楽譜出版社を参考にしています)
内容を見ていただくとどちらにもピアノを弾くための基本的な技術が含まれているというニュアンスは伝わると思います。
ただ、ピシュナでは練習内容がやや抽象的に感じるので目次だけではどういった曲集なのかは理解することができないかもしれません。
ピシュナの後半の曲のイメージとしては「かなり動きはハードで難しい練習曲だけど、譜読みがすごく難しいわけではない」という印象です。
リトルピシュナ
- 5本の指の練習 No.1~14
- 二重保持音とトリル No.15~20
- 三度重音によるトリル No.21~22
- 指の上越と下越No.23~28
- ジグザグ進行No.29~31
- 重音によるトリル No.32~34
- 親指の練習を伴う音階 No.35~38
- アルペジォ-分散和音 No.39~40
- スケールとアルペジォの拡大練習 No.41~48
- 長調音階/旋律的短音階/和声的短音階/半音階
- 三度重音による音階・半音階
ピシュナ
- 5本の指の独立と強化(隣接する位置で) No.1~7
- 指間の拡張と縮小 No.8~22
- 重音の練習(3、4、5、6、10度) No.23~29
- 和音と音階 No.30~39
- さまざまなテクニックに対応する No.40~51
- ポリフォニー No.52~59
- 付録:ピシュナ「60の練習曲」エディション別曲配列
指の独立の運動について
これからピアノを始めるとかまだ初心者の方に近いかなという人はリトルピシュナを弾いてみるのが良いです。
指がくっついてしまうとか、トリルが早く弾けるようになりたいという人はまずはリトルピシュナで十分効果が得られます。
ちゃんとピアノを習ってきた人にとっては全て一通りの技術がついていると思いますので、リトルピシュナを1~2週間で1周するような使い方でまんべんなく技術を身につけていくという方法も良いと思います。
リトルピシュナは同じ音形のパターンですが、半音ずつ徐々に転調していくため、調によって少し変わる手の形や感覚を自然と身につけることができる上、手元を見ないで弾く練習をすることで楽譜を見ながら弾く練習にもなります。
私はこの楽譜を見ながら弾く練習を取り入れたことで初見がかなり上達したと感じています。
リトルピシュナの到達点
では、リトルピシュナでどのくらいのことができるようになるのでしょうか。
ピアノはテクニックだけとっても一つの技術だけではなく総合的な能力が必要なので、リトルピシュナを制覇すればあらゆる曲が弾けるというわけではないですが、指の独立、音階、アルペジオなどの基本の技術は身につくので憧れの名曲の多くを弾きこなせるようなテクニックは十分身につくと思います。
ただ、過去にも記事にしていますが、リトルピシュナでは分散和音やオクターブの移動の練習などはピシュナにならないと出てこないので、あらゆる曲を安定して弾けるような技術をリトルピシュナだけで身につけるのは難しいのではないかと思います。
だからといって両方やるという必要があるかというとこれは「人による」という答えになります。
リトルピシュナを最初の部分しか弾いていないという人はぜひ全部やってみるということをおすすめします。
ピシュナを弾いたことによって見える世界
ピアノの中級者以上の人は、リトルピシュナで求められる技術については一通り身についていることから、最初からピシュナを使ってみるという使い方でも良いと思います。
これも使い方ですが、譜読みや調の違いによる手の形を身につけるという目的で使うためであれば、リトルピシュナはちょうどいいレベルなのではないかと思います。
基本的な技術は身についているけど、曲を弾くための新しいテクニックをどんどん身につけたいとか、いろいろな曲に対応できる総合的なテクニックを効率的に身につけたいという人はリトルピシュナよりもピシュナの方が向いているかもしれません。
私は小さい頃からピアノを弾いていましたが、まずリトルピシュナを弾いてみたときに、自分の技術にムラがあるということを強く感じました。
そこで、リトルピシュナを弾いて全ての曲がスラスラ弾けるようになってから、ピシュナにも手を出してみました。
ピシュナを少しずつ弾いてみてある程度期間が経ったとき、ツェルニーを楽譜に書いてあるテンポで弾くといった「自分が今まで弾くのにハードルが高いな(というか、高すぎるな)」と思っていた曲も意外と戦えるようになりました。(もちろんまだ歯が立たないレベルのものもあります。ツェルニーの指定しているテンポは速すぎます…笑)
指を速く動かすということはもちろんピアノを速く弾くときの指の安定感も生まれたと感じています。
ピシュナまでこなすと技術的にはかなり高いものが身につきますので、ほとんどの曲で演奏に困ることはないのではないかと思います。
曲によっては特別な技術が必要になることもありますが、それもピシュナやリトルピシュナで身についた技術を応用すれば、従来はかなり時間がかかっていた技術的な問題もかなり簡単に解決できるようになるのではないかと思います。(私は実感としてかなり解決しやすくなったと感じています)
まとめ
練習曲として色々なものがありますが、私はピシュナとリトルピシュナはとても良い曲集だと思っています。
もっと言えば、自分が中学生や高校生のうちに出会っていればもっと上手くなれたのではないかと思っています。
ピシュナやリトルピシュナに取り組んでみようかなと思っているけれどまだ一歩を踏み出せていない人は今からでも圧倒的な効果がありますのでぜひ手に取って弾いてみてください!
この記事が皆さんの役に立てば嬉しいです。