楽譜の読み方を考える【レッスンでは教えてくれない:五線譜の内側の読み方編】

ピアノ

(Updated 21/11/21)

ピアノを弾いてみたいと思う人は多いと思いますが、多くの人にとって譜読みは面倒かつ大変な作業と感じるかもしれません。

私は譜読みはあまり得意ではありませんでしたが、少し考え方を変えた時に譜読みへのアプローチが大きく変わりました。
ここではそのアイデアとして五線譜の内側の音符を簡単に読めるようになる方法を紹介します。
楽譜の読み方についてはこちらの記事も参考にしていただければと思います。

五線譜に書かれている音をどう読んでいますか?

みなさんは五線譜に書かれている音の高さをどう読んでいますか。
私が小さいころ習っていたピアノの先生にはまず、以下のことを教えてもらいました。

  • 右手のト音記号の「ド」の位置
  • 左手のヘ音記号の「ド」の位置
最初に教えてもらった音の位置

小さいころに叩き込まれた習慣だったため、私は譜読みの段階でパッと分からない音は両手の基準となるト音記号とヘ音記号の「ド」の音から「ドレミ」で音を数えていました。

ト音記号とヘ音記号はどちらが読みやすいか?

ト音記号とヘ音記号のどちらが読みやすいかアンケートを取ると、オーケストラや吹奏楽をやっている一部の人を除いて多くの人が「ト音記号」と答えるのではないでしょうか。
ト音記号にはメロディがあるだけでなく、合唱の楽譜などでも歌うことが多いため比較的読み慣れるのが早く、小学校低学年の間でも、片手ずつであれば五線譜からはみ出た音まですぐに読めるようになる人が多いのではないかと思います。

一方、ヘ音記号はどうでしょうか。
ヘ音記号はピアノを弾く場合、伴奏を弾くことが多く、なかなかちゃんと楽譜を読む機会がないという人も多いのではないでしょうか。私の場合は楽譜を見た瞬間にいつもの重音や分散和音がほとんどで手の形で覚えてしまうということもありました。
私の実感ではありますが、小さい頃から左手のパターンで以下のものは右手で出てくるよりもパッと見て弾ける箇所が多かった記憶もあります。

  • 分散和音
  • 重音
  • その他の和音の動き

いわゆる慣れている音型については,あまりしっかり音の確認をしなくても「模様」で読むようなイメージでパッと音が取れていたのかもしれません。
一方,へ音記号の伴奏にあまり使わない動きが入ったものは音を読むのに時間がかかり、バッハのインベンションに取り掛かり始めた頃などは、片手ずつ覚えてから弾かないと分からないなど、ヘ音記号にはかなり苦手意識があって絶望的に譜読みが遅かった記憶もあります。

楽譜の読み方を変えてみる

五線譜の位置と鍵盤の位置を対応させる

小さいころに習ってきた習慣というものは恐ろしいもので私は「ド」からの数え読みをしていたため、長い間「五線譜の音からドレミに変換する」というプロセスを踏んで譜読みをしていました。
これはとても効率の悪い譜読みの方法で音を一つ一つ読んでいくという途方もない作業です。
一方、左手の和音(分散和音や重音)だけは「ミソシレ」、「ドミラ」、「シレソシ」のような五線譜に書いてある音符の形で読んでいました。

長い間、数え読みをしていたので、ある時に「初見で一緒に連弾をしてみましょう」とか「この曲を弦楽四重奏と一緒に弾いてほしい」と言われたときにパッと楽譜が読めなくて悔しい思いをするとともに色々な人にも迷惑をかけることもありました。(周りの人は優しく「普段はないピアノがいてくれるだけで十分だよ」と言ってくれてましたが、内心とてもつらかったです…)
普段は自分ひとりでピアノを弾いていれば良いので譜読みに時間がかかろうが問題はないのですが、みんなと楽しく音楽をするには初見のスキルがあるとより楽しめますし、自分が新しい曲を弾くときにも譜読みの時間の短縮ができるので色々なことに役に立つと感じて初見演奏の方法を考えるようになりました。

楽譜を早く読むにはどうすれば良いか考えた時に「左手の和音の反応速度は左手のメロディを弾くことに比べて悪くないのはなぜか」と考えました。
私の右手(メロディ)の譜読みは「五線譜の音符」→「ドレミへ変換」→「演奏」としていたのに対して左手の和音の譜読みは「五線譜の音符」→「演奏」となっていました。
初見の反応速度を高めるためには「ドレミへの変換」が余計であったため、当時の私は「ドレミへの変換」をしないで譜読みをする方法がないか考えてみました。

五線譜内の音を読む

みなさんは五線譜の内側の範囲はどこからどこまでか即答できますか?
私は大変恥ずかしながら、長くピアノを弾いていたのについ最近まで答えられませんでした。

その時に気づいたのですが、右手がト音記号、左手がヘ音記号で全ての曲が五線譜の内側に入っている曲を考えてみます。そうすると、使われる鍵盤の範囲が図のように決まります。

五線譜の両端と中央の音
(右手:ミシファ,左手:ソレラ)
五線譜内の両端と中央の音に対応する音の位置(右手:青 左手:赤)

鍵盤で見るとなんだこんなものかと思う人や思ったよりも多いなと感じる方もいるかもしれませんが、五線譜の中の範囲で弾くということは,要するにこの範囲の音で弾くということになります。
音の数が多くなると譜読みはどんどん難しくなりますが、五線譜の内側(左手の一番低い音から右手の一番高い音まで)の音の数はせいぜい35個す。
組み合わせや動きの難しさはあるもののこれ以上のものは出てこないと初めに割り切って考えてみます。
そして、ト音記号とヘ音記号の中央の音に中指(3の指)、両端の音に親指と小指(1と5の指)を置いてみると、基準となる中央の音との相対的な距離も把握することができます。
つまり、限られた音の数楽譜からの相対的な距離を使えば五線譜の内側の譜読みのイメージがグッと変わるのではないでしょうか。

また,線に音符が交わる音は

  • ト音記号:ミソシレファ
  • ヘ音記号:ソシレファラ

線の間の音符は

  • ト音記号:ファラドミ
  • ヘ音記号:ラドミソ

初めのうちは覚えてしまっても良いと思います。
徐々に「五線譜の音符」→「鍵盤の位置」と反射的に反応できるようになると一気に譜読みが早くなります。

楽譜を読むためには、やさしい曲をたくさん弾いてト音記号やヘ音記号とどんどん仲良くなることからスタートするという方も多いと思いますが、最初から楽譜を読むことが苦手な人に無理をさせて楽譜を読ませてしまうと嫌になってしまうという可能性はかなり高いようです。

まずは,五線譜のどの位置に鍵盤が対応しているの把握して理解しておくことが大切だと思います。そして,どんどん譜読みをしていく上で五線譜の音の位置と鍵盤の位置をリンクさせて弾けるようになる(一度ドレミに変換しないで弾けるようになる)ということが大切ではないかと思っています。

まずは五線譜内の音がすぐ読めるように

使う鍵盤の範囲が分かったところで、色々な曲のの楽譜を眺めてみると比較的難しい曲であっても大部分は五線譜の内側の音で作曲されています
これから譜読みをしようと思って目を通した曲が案外自分が思っていたよりも狭い範囲を巧みに使って作曲されているということに気づくかもしれません。
もちろん、五線譜からはみ出た音(五線譜の外側の音)を使っている音が大半の曲もあるでしょう。
しかし、そういった曲でも五線譜の内側の音が怖くなくなっているだけで譜読みのスピードは格段に早くなります。

五線譜の内側の音の譜読みの練習については,ハノンやリトルピシュナといった比較的単調な練習曲でも効果があります
自分が弾いている音の位置がト音記号とヘ音記号の中央の線からどのくらい離れているのか確認してみると少し楽譜と鍵盤の見え方が変わってくるのではないでしょうか。

バイエルはト音記号の練習が多いですが、もちろんヘ音記号が出てくるものもあります。また,プレ・インベンションやブルグミュラーなど,曲の長さが比較的短く,音の少ない曲にトライすると少しずつ楽譜の読み方に慣れてくると思います。

より早く曲が弾けるようになるためのヒントとして

今回は,五線譜の中の音の範囲に注目しました。まずは単音から五線譜のどの位置の音がどの鍵盤に対応しているか把握することが上達のための一歩になると私は考えています。
五線譜からはみ出た音などについても別の記事で解説していますのでよかったら見ていただければと思います。

今回の記事が楽譜の読み方についてあまり考えたことがない人にとってヒントになれば嬉しいです。
楽譜を早く読めるようになりたい人や読むのが苦手な人が色々な曲にトライできるように,楽譜の読み方(向き合い方)のヒントについて考えていきたいと思います。

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