オクターブを連続を弾くときのちょっとしたコツと練習方法【オクターブの基本的な指使いと親指を使ってオクターブを安定して弾く】

ピアノ

「1オクターブの大きさに手を広げてみてください」と言われるとたいていの人はぴったり1オクターブの幅に手を広げることができるのではないでしょうか?

できない人も心配する必要はありませんが,ほぼ1オクターブの幅は再現できているのではないかと思います。今回はオクターブの手の使い方に注目してみようと思います。

オクターブの広さは簡単に分かるのに…

オクターブの大きさに手を広げることは比較的簡単なのに,オクターブで音階を弾くように連続して弾くのはとても難しいのではないかと思います。手の形は簡単に分かるのに連続して弾くのがなぜ難しいのでしょうか。連続して弾くためには,コツがあります。

オクターブの指使いの基本を知っていますか?

最初の質問で1オクターブの幅に手を広げたとき,多くの人は1と5の指で1オクターブの幅に手を広げたと思います。しかし,ド♯(Cis)の1オクターブの幅に広げてみてくださいと言っていた場合,一部の人は1の指と5の指ではなく別の指使いをするのではないでしょうか。

黒鍵の1オクターブは指使いを変える【4の指を使う】

オクターブの音階を弾くと,黒鍵の1オクターブは5の指ではなく4の指で取るという人が多いと思います。これは,オクターブを滑らかに弾くための指使いだと思っていますが,基本的に黒鍵の1オクターブを弾くときは4の指を使います。「黒鍵→黒鍵→白鍵」のオクターブを弾く場合は3の指を使う人もいるかもしれません。3の指については手の大きさによってできる人とできない人がいると思いますが,

オクターブの音階は弾けますか?

すべて白鍵で「ドレミファソラシド」のオクターブを自信を持って弾くことはできますか?オクターブの幅は分かっているのに上手く弾けないという人もいると思います。特にある程度ゆっくりとしたテンポであれば弾けるかもしれませんが,スピード感を持って弾くのはかなり難しいと思います。こうしたオクターブの連続についてはコツがあります。

オクターブを連続で弾く場合のコツと練習方法

オクターブを弾くためのコツとして,有効な方法としては親指を動かすという基本があります。以下に譜例を使って練習方法を紹介します。基本的なオクターブを考えます。

これを以下の2つの楽譜に分解して練習します。この時,指使いは変えないで弾きます。つまり,上の譜例であれば全て親指で弾き,下の譜例であれば全て小指又は薬指で弾きます。

この練習方法はオクターブ練習の基本になります。譜例はハ長調ですが,黒鍵が含まれる調でのオクターブの練習にも取り入れることをおすすめします。実際に練習してみると親指だけや小指だけの練習でどちらか苦手な動きが見つかると思います。特に,親指の連打になる部分が苦手な人が多いようです。私はこの練習方法でオクターブの連続演奏が苦にならなくなりました。さらに,自分がどのような動かし方が苦手か理解し,ミスタッチがなく自由に音のコントロールをするための手の動かし方をさらに研究すると早く上達します。

オクターブの練習と曲で出てくるオクターブ

【導入編】ハノン

導入編としては,ハノンのNo.51とNo.53のオクターブの音階がおすすめです。これがマスターできればオクターブの技術の基本はバッチリです。さらに高いレベルのオクターブ演奏を身につけるためには,No.57のオクターブによる分散アルペジオの練習をすると良いと思います。今回紹介した親指だけや小指又は薬指だけの練習をした上で弾くとかなり短時間で上達していく感覚が分かると思います。ハノンの分散オクターブはかなり難しいのでそれは色々な技術が身についてから取り組んでいくということでも良いと思います。

【初級~中級編】黒鍵のエチュード

簡単で聴き映えする連続オクターブとしては,ショパンのエチュードOp.10-5(黒鍵のエチュード)があります。出てくるのは曲の最後に黒鍵で連続オクターブを弾きます。ここは相当な見せ場ではありますが,連続オクターブを弾くための技術レベルとしては一方向に下って弾いていくだけですので,比較的ハードルは低いです。難しい曲の全部を弾くのはハードルが高くても,曲の一部であれば取り出して弾くことはできます。初心者のうちからもこうした名曲の一部を弾いておくことは自身の成長につながりますので,取り組んでみると良いです。

【中級編】スケルツォ第3番

2つ目の魅力的な連続オクターブはショパンのスケルツォ第3番です。何小節にもわたる連続オクターブが曲に何度も出てきます。両手で同じ音を弾くので譜読み自体はそれほど難しくはないですが,スピード感があり,踊りのリズムで高速にオクターブを弾くのはかなり難易度が高くなります。オクターブの安定した奏法を身につけた人には必ずトライしていただきたい曲のひとつです。

【上級編】英雄ポロネーズ

難易度がかなり高い連続オクターブにはショパンのポロネーズ第6番(英雄ポロネーズ)があります。曲の中盤でこれでもかというくらい長く左手の連続オクターブが続きます。英雄ポロネーズの連続オクターブは左手で4音(「ミレ♯ド♯シ」又は「ミ♭レドシ♭」)の繰り返しなのですが,これが非常に難しく,安定した演奏をするためには筋力や持久性も必要になります。左手のオクターブに気を取られて右手のメロディーが蔑ろになってしまうので,最終的には意識しなくても安定したオクターブ奏法ができるようになる必要になります。この連続オクターブが難なく弾けるようになるとオクターブ奏法の基本は完璧だと言えます。

ちなみにこれよりも技術的に難しいのはハノンの分散オクターブだと思っています…(笑)

まとめ

連続オクターブの練習方法を紹介するとともに,連続オクターブが魅力的な曲を紹介しました。オクターブの練習をちゃんとやったことがない人もいるかもしれませんが,そういった人ほど「親指だけ又は小指もしくは薬指」だけのオクターブの練習をやってみていただければと思います。少しやってみていただければかなり上手くなると思いますので,ぜひ少しだけでも練習していただければと思います。

ゆきふり

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