ピアノで大きな音を出す方法【打鍵は速さと深さ】

ピアノ

ピアニストでピアノの弦を切ったことがあるという人はしばしば耳にします。普通にピアノを弾く人のほとんどはピアノの弦を切ったことはないのではないでしょうか。今回はピアノの弦が切れるくらいの強い打鍵から着想を得て,今回は大きな音を出す方法について考えてみます。

鍵盤を押す速さと深さ

ピアノをあまり弾いたことがない人に「大きな音を出してみてください」と言うと空中から叩きつけるように打鍵をすることがあると思いますが,大きな音を出すうえではこの方法は効果的ではありません。ピアノは鍵盤を一番下に押していくタイミングで音が鳴ります。もし,空中から叩きつけるように打鍵をした場合,鍵盤を押す速度が一番速くなるのが鍵盤に当たる瞬間であり,鍵盤が下に沈んでいく段階で鍵盤から戻ってくる力が手に加わり,打鍵速度が落ちるだけでなく,鍵盤が一番下まで押せないこともあります。鍵盤を押す速さを意識している人は多いですが,意外にも押す深さを考えている人は少ないようです。

鍵盤を押す深さ

大きな音を出すときは鍵盤を押す深さを深くする必要があります。フォルテやフォルティシモで弾く部分やマルカートなどではっきり弾く部分では鍵盤を速く深く押すことが有効です。弾きながら音のための打鍵は気にするものの,鍵盤を一番下まで意識して押したことがない人もいるのではないでしょうか。普段弾いているピアノで鍵盤を一番下まで押した時に指に伝わる感触を確認しておく必要があります。

鍵盤を深く押すためのコツと考え方

鍵盤を一番下まで深く押せれば大きな音が出ますが,これをできるだけ楽に実現するためには手の形が大切です。よく言われることですが,手の形としては手に丸みをもたせて打鍵をすることが大切となります。実際に試してみれば分かりますが,手をパーにして伸ばした指先で何かを押すよりも手をグーに近い形にして指先で何かを押したり引っかけたりする方が力が入りやすいのではないでしょうか。人間の手は握る方が力を出しやすく,その形に近い方が力が出やすいと思います。また,鍵盤の上から下への力のみを意識するだけでなく,脱力して腕の重さを自然に鍵盤に伝えることが重要となります。例えば,指の第一関節が力を受けて方向に曲がってしまうとそこで力が逃げてしまうため,鍵盤にまで力が伝わりづらくなります。手首や手の形に注意して指先に最も重さが伝わる姿勢を考えると良いです。ピアノのレッスンで姿勢を指摘してくださる先生も多くいらっしゃると思いますが,そうした先生は合理的な弾き方を研究している場合があるため,積極的に聞いてみると良いかもしれません。

大きな音を出すコツと考え方

冒頭でも触れましたが,大きな音を出すための方法として鍵盤の上から叩くということは非効率と思われます。ピアノの教本やピアノのレッスンで大きな音を出すために空中から叩きつけるように弾くということが紹介されていることはほとんどないのではないでしょうか。ピアノの教本などで紹介されない理由について空中から打鍵する場合,ミスタッチを誘発するということも理由のひとつとは思いますが,それ以上に大きな音を出すためには鍵盤を下まで押す速さを上げる必要があり,鍵盤に当たる瞬間までの動きは音にほとんど関係ありません。速く押すためには,力を鍵盤に効率的に伝える必要があるため,「鍵盤に指をつけた状態で打鍵をする」ということがとても大切になります。実際にやってみると慣れない人は鍵盤に指をつけた状態で鍵盤を下まで強く速く押すということが難しく感じる人もいると思いますが,これができるようになるとピアノの演奏技術が1段階向上すると思います。

大きな音を出すための基本的な考え方とその練習方法

鍵盤の深さだけでなく,鍵盤を押す速さが速いと大きく鋭い音が鳴ります大きな音を出すためには鍵盤を押す深さとこの速さを両立する必要があります。小さな音から練習するということも重要ですし,そういった練習も必要ではありますが,はっきりとしたタッチで弾けることはピアノを弾くうえでは重要なスキルの一つです。このスキルが身につくと以下のメリットがあります。

  • 強弱のコントロールがしやすくなる
  • ミスタッチが減る

道のりが長く感じるかもしれませんが,はっきりした音をだすために効果的な教本はピシュナリトルピシュナです。これらの教本はゆっくりのテンポで指の独立を目的としていますが,全ての音をはっきり弾くときに打鍵の深さと速さを考えて練習するとさらに効果の高い練習が可能となります。ただし,手の筋力は徐々につくものなのでいきなり負荷のかけすぎた練習を行うことは危険です。腕立て伏せを目標にして初日から1000回などという高すぎる目標を立ててしまうと身体を壊してしまう可能性が高くなるということと同様です。リトルピシュナについては,過去に記事をまとめているので興味がある人はご覧いただければと思います。

まとめ

今回は大きな音を出すための方法を考えてみました。ピアノを弾くためには基本的な技術を分解してその一つ一つができるようになると効率的に上達することが可能です。曲をたくさんこなすということも重要であると思いますが,あまりそういったことが得意ではない人や1曲1曲をしっかり仕上げていきたいという人にとっては,こうした1つ1つの技術を考えて身につけていくと上達のスピードが上がるかもしれません。大きな音は汚い音と思ってしまう人もいるかもしれませんが,音楽の奥行を出すためにコントロールされた大きな音を出せるようにトレーニングができると良いのではないかと思います。

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