トリルの練習方法とそのコツ【2種類の練習方法を紹介します】

ピアノ

皆さんはトリルは得意ですか?

私は小学校の時はトリルが苦手でトリルの出てくる曲では指に力を入れて手首を回転されるように弾くなど,普通ピアノを弾く人にとってはあり得ない演奏方法をしていました。ここではトリルの練習をしたことがない人やトリルが苦手な人に読んでいただければと思います。

練習方法その1【打鍵のスピードを上げるトレーニング※けっこう地道な練習です】

トリルの練習として,例えば「ド」と「レ」のトリルを行う場合,ずっと2つの音を交互に弾き続けるという人もいるかもしれません。その練習方法は指の持久力を身につけるだけであり,指の俊敏性が必ずしも身につく練習ではないと思っています。

練習方法その1では「ド」と「レ」を短く分けて往復する練習をします。以下に,練習方法その1の具体的な練習方法の譜例を示します。

トリルを速く弾くためには指を下ろすスピードと指を上げるスピードを鍛える必要があります。また,トリルを弾く2つの音の打鍵バランスを取る必要があります。上の譜例ではまずは自分ができる速さでの練習からスタートさせますが,徐々に以下のように音符を細かくして音を打鍵するスピードを上げていきます。

この時に指で打鍵して音を鳴らすことに集中するだけでなく,指を素早く上げることも意識して,明確なトリルが弾けるように練習をしていきます。また,指を鍵盤から離さないことを意識した上で指を上げるスピードと下げるスピードを訓練していきます。少し根気がいる練習方法ではありますが,自分の指の筋肉をどう使っているかを意識してどうして早く動かないかを考えながら練習すると少しずつ速さが上がっていきます。数値で確認したい人はメトロノームなどでテンポを測りながら練習してみるといいと思います。

さらに発展的な練習としては,1往復の練習だけでなく2往復以上弾いてみる方法があります。

2往復でも結構難しくなりますが,段々と往復数を上げていくことで最終的には持久力とスピード感がある美しいトリルが弾けるようになります。

練習方法その2【指の神経の分離と筋力トレーニング※手のケガに注意】

練習方法その2は保持音を入れた練習です。例えば,以下のような譜例が考えられます。

ピシュナやリトルピシュナなどでも似たような練習方法がありますが,保持音を使った練習は指の神経の分離と筋力トレーニングになります。譜例では右手の2と3の指あるいは左手の3と4の指の練習になっていますが,保持音の位置を変える(例えば「ドレソ」に変える)ことによって他の指も鍛えることができます。

この練習にはさらなる発展形としてトリル以外の練習(例えば「ド」と「ミ」の往復)も可能です。ただし,この練習を行う上で手が痛くなる人がいるかもしれません。ある程度の速さで弾けるようになると,かなり手に対しての効果はありますが,練習をしすぎると手をケガしてしまう可能性がありますので注意してください。

トリルを弾くときのコツ【脱力が大切。それに加えて考える。】

「トリルを弾くときは指や手に余計な力がはいらないように気を付けてください」とよく言われるかと思います。具体的には,指を固めてしまったり,指がバタつくような弾き方をしたりしている場合は力が入ってしまっている可能性が高いです。

まずは気を楽にして脱力して弾いてみることが大切です。また,自分の頭の中で早く動かそうとするがあまりに力が入ってしまうことがありますので,鍵盤がボタンのように速く上下しているイメージを持って,打鍵するというイメージよりも自動で上下する鍵盤の上に指を乗せるようなイメージを持って弾くと案外上手くいくことがあります。(私の知り合いのピアニスト談)

さらに,指のどこを使っているか意識して,指の根元から無駄のない動きで動かせているかの意識をしておくことも大切です。

トリルの練習はある程度根気が必要なので,毎日5分少しずつなど取り組んでいただければと思います。また,突然弾けるようになる日が来るかもしれません。実際には指で鍵盤を押す速さと指を鍵盤から離す速さで決まってくるものなので,指の神経を分離した上で指を速く動かすための筋力がつけば弾けるようになります。

1時間みっちりトリルの練習をするという方法ではなく,指を俊敏に動かせるようになるためにはどうすれば良いのかということをよく考えて練習できるとより早く上達すると思います。まだまだ苦手な人や今までトリルの練習をしたことがなかった人も訓練の方法を間違えなければ必ず美しいトリルが弾けるようになりますので,ぜひ練習してみてください。

トリルが魅力的な曲の紹介

世の中にはトリルが魅力的な曲がたくさんありますが,ここではその一部として私が独断と偏見で思うトリルが美しい曲を紹介します。興味のある人はぜひ弾いて(聴いて)みてください!

  • 子犬のワルツ:ショパン
  • 軍隊ポロネーズ:ショパン
  • 火祭りの踊り:ファリャ
  • ピアノソナタ第21番(ワルトシュタイン)第3楽章:ベートーヴェン
  • ラ・カンパネラ:リスト

子犬のワルツや火祭りの踊りは曲の冒頭にトリルが出てくる劇的な始まりの曲で有名かと思います。ここで細かいトリルが入ると聴き手を惹きつける演奏に一歩近づけるのではないかと思います。また,火祭りの踊りは曲全般でトリルが目立つ曲ですが,それ以外はそれほど難易度が高い曲ではないので,得意な人はレパートリーの一つに加えられるのではないかと思います。

軍隊ポロネーズは中間部で低音部の両手のトリル右手の下降系の音形のトリルがあり,トリルが得意な人の見せ場だと思います。クレッシェンドをかけながら細かいトリルを入れることができるととてもかっこよく聴こえるので,ぜひピアノを弾いている皆さんにトライしていただきたい曲のひとつです。

ワルトシュタインの第3楽章やラ・カンパネラは右手の4,5の指でトリルを弾きながら1,2の指で別の動きをするという難しい技巧が含まれた曲ですが,いずれも高音部で鳴り響く美しいトリルは演奏者の技術を見せ場の一つだと思います。この2つの曲は,4,5の指のトリルが十分にできずに当時高校生の私は挫折してしまいました。10年くらいピアノから離れてはいましたが,大人になってからようやく4,5の指のトリルが曲で使えるようになったので,改めてちゃんと挑戦したいと思っています!

まとめ

トリルの効果的な練習方法を2つ紹介しました。トリルが苦手な人はぜひ取り組んでいただければと思います。私は練習方法その1を中学生の頃から実践し,それなりに細かいトリルが弾けるようになりました。大人になってから練習方法その2での練習を行うようになって,右手と左手のトリルが一段と堅実なものになった気がします。

トリルと聞いて苦手意識がある人はぜひこれらの練習をしてみていただければと思います。私もトリルが苦手中の苦手でかなり練習しました。少し時間はかかるかもしれませんが,美しいトリルが弾けるようになるはずです!

ゆきふり

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