ツェルニー30番の効果的な使い方
ツェルニー30番は多くの人が弾いたことがあるのではないでしょうか。単調でつまらないと言う人もいるかもしれませんが、ツェルニー30番の効果とその使い方について紹介します。
ツェルニー30番で得られる効果
ツェルニー30番では以下の効果が得られます。
- 指が速く回ること
- 音を正確に弾けるようになること
- 全ての指の強さや機能の向上
ツェルニー30番は初心者から中級者になるためには誰しもが通る基礎練習の教材だと思います。それだけ重要な技術がたくさん詰まった教材です。曲の難易度はそれほど難しくはないものが多いと思います。ハノンのような機械的な練習ではなく,曲を使った練習をしたいという人にとっては有効なものです。
練習曲の教材としてはそんなに難しくないものとされているとはいえ,きちんと楽譜に記載されているテンポや強弱で弾くのはかなり難しいです。全曲がテンポ通り弾けるようになると基礎的な技術と言いつつかなり高度な技巧まで身につくのではないかと思います。テンポ設定が速すぎると思えるような曲もあるので,私はこの曲集のみでそこまでやるよりも他の練習曲集など,曲数をこなしながら徐々に技術を磨く方が良いと思っています。
英語で言えばハノンが単語集であるのに対して,ツェルニーは比較的短い文章を使った訓練に相当すると思っていただけるとちょうど良いのではないかと思います。
基本的な取り組み方
ピアノを習っていた人は先生にもよりますが,レッスンで求められるレベルにもよりますが,それなりなテンポで弾く必要があると思います。
しかし,最初は絶対にミスタッチをしないようなゆっくりなテンポから練習することをおすすめします。
特に初心者は最初は片手ずつゆっくりから弾き,徐々に両手で速く弾けるようにするということが大切です。基礎練習の教材として,間違えた音を弾いているのにテンポを上げてしまうというのは絶対にやってはいけません。
将来的にはあらゆる曲を両手で1度で譜読みできることが理想ですが,まだ初心者のうちは技術が身につかない状態で両手で弾き始めてしまうのは危険ですので,左手を3回,右手を3回のように自分で片手ずつ練習する回数を決めて取り組むようなことが大切です。
先生についた方が効率よく上手くなる可能性は高いとは思いますが,独学でピアノを弾く人にとっても指使いが指定されているので基礎的な技術の習得には他の教材(ハノンやリトル・ピシュナなど)とあわせて練習するだけでも十分だと言えます。
ツェルニー30番でスポーツ的快感を覚える
ツェルニー30番は基本的な技巧を身につけるために有効な教材です。それ以上に,基礎練習教材として位置付けられていることから,全ての曲をミスなく弾けるようにするとさらに効果があります。
できないことはとても悔しいと感じる人もいるかもしれませんが,できるようになってくると,とても楽しく感じられると思います。
作曲者が指定したテンポで初心者〜中級者の人がすぐに弾くのはかなりハードルが高いと思います。できる人は尊敬します。最初からできなくても,だんだんと弾けてくるようになったり,日にちを空けて再挑戦してみたりすることで,弾けるようになるとスポーツ的な達成感や快感を覚えることができます。
機械的な練習になってしまうこともありますが,できなかったことができるようになったり,何かを達成したりすることに喜びを感じられる人にとっては,そういった使い方も可能です。
中級者以上のツェルニー30番のおすすめの使い方(ウォーミングアップに使う)
中級者以上の人はツェルニー30番はほとんどこなしたことがあるという人も多いと思います。そういった人は,日付の下1桁の数字と同じ番号を全てウォーミングアップに弾くという練習がおすすめです。こういった練習方法には以下の効果があると思います。
- 楽譜にさらに慣れることができる
- 曲を使った曲の長さが長すぎない
- 得意や苦手を知りやすく,技術が偏りにくい
楽譜にさらに慣れることができる
最初はミスタッチの内容に手元をみて片手ずつゆっくり練習をしていく人も多いと思いますが,慣れてきた中級者以上の人でウォーミングアップとして使いたい人は,「常に楽譜を見続けて弾く」という練習が効果的です。
ちゃんと練習した人にとっては暗譜で弾けるかもしれませんが,音の跳躍がある部分も毎回手元で確認するのではなく,常に楽譜を見ながら弾くことができれば譜読みがさらに早くなります。
曲の長さが長すぎない
曲が見開き1ページ程度なのでウォーミングアップとして弾く練習時間は弾き直す場合があっても10分弱だと思います。時間が本当にないときの基礎練習としてはスケールやアルペジオなどを弾くことがおすすめですが,基礎練習として何をしたら良いか分からないという人にとっては技術の維持・向上のためのいい練習になると思います。
得意や苦手を知りやすく,技術が偏りにくい
練習曲集としてある程度の網羅性が確保されているため,毎日ウォーミングアップとして取り上げることができると技術が偏りにくいという特徴があります。また,苦手な練習曲が分かればそれを集中的に練習することで苦手克服にもつながるため,演奏の幅を広げることが可能です。
最後に
ツェルニー30番はつまらない曲集と思う人も多いと思います。私もショパンを弾くために必要な技術はこの曲集からは得られにくいと思っていた時期もあり,あまり好きではありませんでした。
しかし,色々な曲に触れて,たくさんの技術が求められるような状況になって,ツェルニーは完全に避けては通れないものだと感じるようになりました。
練習曲としてこなさないといけないものと聞くと辛い練習と思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし,ピアノが上手い人がツェルニーを弾くとかなりかっこいい曲と気づきます。私はかっこよく曲を弾きたくなるのは当然という感情で取り組んでしまおうと思いました。
技術が不足しているうちのツェルニーはとても辛く感じるかもしれませんが,最初は一通り弾けるようになるまでを目指してトレーニングを続けられると良いと思います。
私も楽譜にテンポで弾けるように日々トレーニングをしてみます。
ゆきふり
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