初心者や子どもにおすすめの曲【バルトーク:子どものために】

ピアノ

初心者や子どもにおすすめの曲(バルトーク:子どものために)

バルトークの「子どものために」という曲集を知っているという方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
「子どものために」とあるように初心者向けの曲集ではありますが,曲集にはハンガリーの独特な民謡などがたくさん含まれており,懐かしい空気を感じることができます。
今回はそんなバルトークの子どものためにを紹介します。

バルトークはどんな作曲家か?

バルトークはバッハやモーツァルト、ベートーヴェンといったクラシック音楽の作曲家に比べたら馴染みがない作曲家かもしれません。
1881年にハンガリーで生まれの作曲家でピアノ曲や管弦楽曲がたくさんあります。
バルトークは作曲家として有名ですが,リストの弟子からピアノの教えを受けたことからピアノの名手としても活躍していました。
さらに、民俗音楽の収集・分析をして研究をするだけでなく,子どもの音楽教育のための曲もたくさん作曲しています。
初めてバルトークの曲を触れるのは「ルーマニア民俗舞曲」という人が多いと思いますが,そこから様々なバルトークの曲に触れると,難しいバルトーク独特の懐かしさや温かさを感じる曲も多くあります。

子どものためにはどんな曲集?

子どものためには1908年に作曲されて,ハンガリーやスロヴァキア民謡などの色がある教育のための曲集でバルトーク自身で何度も改訂されています。
この「子どものために」は音楽之友社から出版されている楽譜では2巻構成となっており、1巻に40曲、2巻に39曲収録されています。


その中にはタイトルがついている曲もあれば、タイトルのない「無題」の曲もあります。
第1巻ではハンガリー民謡を元にした曲が収録されており、第2巻ではスロヴァキア民謡を元にした曲が収録されています。
ハンガリーやスロヴァキアの風景が浮かぶような何か懐かしさを感じるような響きの曲がたくさんあります。
曲はとても短く1曲あたり1分以内という曲が多いです。
ゆったりとした曲やテンポが速い曲など様々な曲がありますが,曲の中には日本昔ばなしに出てきてもおかしくないと感じるような曲に感じるものもあります。
バルトークがハンガリーやスロヴァキアの民謡を見る感覚は、我々がわらべ歌を見るような感覚かもしれません。
個人的におもしろいと思ったポイントとしては、子どものための曲集に「ぶどう酒の歌」「義賊の歌」などタイトルだけでは子どもっぽくないなと感じてしまうものもあるところです。

難易度は?

「子どものために」の曲集なので、難易度はそれほど難しくありません
楽譜の音符も比較的大きく、指使いも丁寧に記載されています。
多くの音符は四分音符や八分音符で構成されています。
独特な和音やリズムが難しいと感じる部分もあると思いますが、たくさんある曲をいくつか弾いていくと「懐かしさ」を自然と感じます。

他の作曲家にはない面白いポイントとしては「演奏時間」が明記されていることです。
曲を何秒間で弾き終わるようにという練習をしたことがない人は多いと思いますが、バルトークが指定したテンポで弾くと何秒くらいかかるという目安が分かりますので、練習での目標ができると思います。

バルトークというと少し理解しづらい曲があって敬遠される人もいるかもしれませんが、この曲集は子どもが音楽に親しむきっかけになる曲集ということもあり、弾いてみて理解が難しいという曲は少ないです。
また、テンポが速い曲や遅い曲、右手の分散和音、左手のメロディなど両手の様々な役割を持たせた曲や5拍子などなかなか演奏しないような曲もありますので、比較的簡単な曲で総合的に演奏技術や音楽性が向上していきます。

たくさんの曲がありますのでおすすめな曲は以下のおすすめ動画の弦楽合奏を参照していただければと思います。

こんな人におすすめ

たくさんの曲があるのでピアノを始めたばかりの子どもが曲を選んで弾いていくのは難しいかもしれませんが、大きくなってから始めようと思った大人の初心者には特に適していると感じます。
また、この曲集の使い方として「曲の中の好きなものだけを抜粋して弾く」ということも良いですし、ピアノの先生であればこの中から「何曲か抜粋して子どもに課題を与える」というものもいいかもしれません。
よく知っている人ほどバルトークと聴いて敬遠されるかもしれませんが、この「子どものために」はわかりやすい曲が多いので、ただ弾いているだけの練習だと飽きてくるなと感じる人には強くおすすめします。

楽譜や演奏動画を紹介

楽譜

日本で手に入る楽譜はこちらです。Amazonで見ると定価で1冊1,760円のようです。
楽譜のデザインをみるとなかなか見たことない楽譜かもしれませんが、音楽の友社から出ています。

演奏動画

ピアノの演奏動画は国内外でたくさん公開されていますが,日本語で検索すると第1巻27曲目の「冗談」の動画がたくさん公開されているようです。(下の動画は楽譜付きです。)

弦楽合奏版もあります!

ピアノ曲として知っているのですが弦楽合奏版にも編曲されています。
以下の動画では弦楽合奏となっていますが、「子どものために」から10曲抜粋されて編曲されています。

こちらの動画の10曲は「子どものために」に収録されている曲ですが,ピアノとは全然違った印象になります。
個人的には2:55〜,5:15〜,8:30〜はワクワクするような曲に感じます。
ピアノ曲ではどこで出てくるのか聴き比べるのも面白いかもしれません。
弦楽器の暖かい響きや弾むような演奏を参考に、ピアノでもこうした演奏ができるようになれるようになりたいと感じています。

まとめ

バルトークの「子どものために」について紹介しました。
「ミクロコスモス」というバルトークによる全6巻のピアノ曲集(トンプソンなどと同じような教則本)もありますが、初心者が取り組んでいくと普段全く聴きなれない響きに混乱してしまうかもしれませんので、中級者以上の方が練習として使うのが良いのではないかと思っています
この「子どものために」は「懐かしさ」を感じる曲集ですので、曲に親しんで徐々にレベルを向上させていくためにはポイントになるかもしれません。

この記事が皆さんの少しでも役に立てば嬉しいです。

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