初見に慣れるための教材としても(プレ・インベンションでの練習)

ピアノ

プレ・インベンションという本をご存知でしょうか。全音楽譜出版社から出版されている本はピンクと黄色の素敵な見た目の本となっています。

プレ・インベンションとは何か

プレ・インベンションの表紙にも,J「.S.バッハ インベンションの前に」と書いてあるように,J.S.Bachのインベンション(2声:BWV 772-786からなる15曲)に取り掛かるまえの教材として編纂されたもののようです。

比較的簡単な2声からなる曲が記載されており,バッハを取り組むために必要なフレーズやテンポ,アーティキュレーションなどの基本的な部分が学べるようになっています。

2声からなる曲なので,右手と左手にメロディがあるため,右手はメロディ,左手は伴奏というスタイルとは異なります。

全部で56曲あります。最後の方のページに「ワンポイント・アドバイス」が書いてあるため,1曲1曲しっかり突き詰めていくと,細かい演奏方法を身に着けるための様々な要素に学ぶことができますが,曲が1~2ページ以内のものが多く,音の数がそれほど多くないため,とてもおすすめな教材のひとつです。

初見の訓練のためにも

曲の長さがそれほど長くなく,左手にもメロディがあることから,ヘ音記号の譜読みにも慣れることができます。

1曲ずつゆっくり練習するにもとても良い教材ですが,ある程度ピアノが弾ける人にとっては,予見時間(拍子と調を理解して)を両手で初見演奏をする訓練のためにもなると思います。

ただ,楽譜にまだ慣れていないようなピアノの初級者にとっては両手ですぐに弾く練習をするのは少し難しい教材かもしれません。そういった方は,片手ずつでも良いので楽譜に書いてある音と鍵盤の位置関係を対応させたり,音を歌ってみるのも良い練習になると思います。

バッハのピアノ曲集

ピアノを習っている人にとってはとても有名ですが,バッハのピアノ曲集の代表的なものについては以下のものがあります。

  • インベンション(BWV 772-786)
  • シンフォニア(BWV 787-801)
  • 平均律クラヴィーア曲集(第1巻:BWV 846‐869, 第2巻:BWV 870-893)
  • フランス組曲(BWV 812-817)
  • イギリス組曲(BWV 806-811)

ピアノを習う人は「インベンション」→「シンフォニア」→「平均律」という順に学ぶ例が多いのではないでしょうか。

私は小学校の時に,クーラウやクレメンティのソナチネをやってからインベンションに取り掛かりましたが,両手にメロディがあることに抵抗があり,なかなか曲集が進まなかった記憶があります。

インベンションはピアノを学ぶ人であれば,必ず通る道ではありますが,曲がそれなりに長いことや特に小さいうちは教えてくれる先生によって曲を弾いているときに修行のように感じられてしまうこともあるかもしれません。

プレ・インベンションに取り組んでいくと,楽譜に抵抗が少なくなるほか,短い曲ではあるものの曲が弾けるようになった達成感を味わうことができると思います。

ピアノを弾くことが好きであり続けるために

ピアノを弾けるようになりたいと思う人は多いと思いますが,ピアノを習っていくうちに練習が嫌いになってしまった人も多いと思います。

そういう人は,「次回のレッスンまでに曲を仕上げて」という課題に対して,曲が難しくて譜読みが間に合わなかったという経験が多くあると思います。

レッスンで与えられる曲は徐々に難しくなると思いますが,その間を埋めるようなレベル,あるいはそれよりももっと簡単な曲をできるだけたくさんこなしていき,譜読みにかかる時間を短くすることが,ピアノを弾くことが好きであり続けるために重要だと感じています。

レッスンで与えられる曲以外にも少しずつ簡単な曲をウォーミングアップのように取り入れる習慣になれば,【曲を譜読みする】というフェーズを短くすることができ,よりレッスンや発表会に向けた練習に取り組むことができるようになります。

今回紹介したプレ・インベンションは上達のための一歩として,重要な教材になる人も出てくるかもしれません。

今まで見たことがなかったり手に取ったことがなかったりという人もいると思いますので,そういった方はぜひ中身を見ていただき,自分に合うようであれば積極的に使ってみていただければと思います。

ゆきふり

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