このブログを見てくださっている人はほとんどの人が日本の方だと思いますが、クラシックでは多くの曲が外国、特にヨーロッパの作曲家によって作曲されています。
今回は音楽表現のレベルアップをテーマに記事にしてみます。
良い音楽のための2本の柱
良い音楽には「テクニック」と「音楽表現」といった2本の柱があります。
テクニックと音楽表現という2つの柱のうち、特に初心者のうちはテクニックの方に目がいってしまうことが多いですが、最終的には相手の心を動かすための演奏をするためには、音楽表現が非常に大切になります。
音楽表現のレベルを高める方法には小手先のテクニックを色々と身につけるだけでなく、色々な経験をしてその感情を実体験として知るということが近道の一つです。
体験したことのある感情はリアルに表現できる
ヨーロッパの街並みをイメージしてと言われた時、ヨーロッパの街並みを全く見たことがない人と写真でもみたことがある人でそのイメージは大きく異なります。
旅行などでヨーロッパの空気を吸ったことがある人はその土地の香りや文化を少しは体験しているため、写真だけ見たことがあるという人に比べて「ヨーロッパってどんなところ?」という質問に対して多くの感想が生まれると思います。
他にも、オペラなどでとても多い恋人のために作られた曲を弾く場合、その気持ちとシンクロできるようになると心の動きを再現するようなメロディや伴奏の弾き方ができるようになり、人の心を動かすような音楽表現が自然と可能となります。(もちろん、劇的すぎて一般には遠すぎる表現もありますが。笑)
言い換えれば、音楽表現と感情がある程度一致してくると、クレッシェンドだから大きく、スタッカートで音を短くなど楽譜に書いてある記号だけでなく、なぜクレッシェンドがかかっているのか、スタッカートが書かれているのかという部分について自分で納得できるようになることがあります。
風景が思い浮かばない曲ではどうするのか
感情が浮かびにくい曲、例えば、モーツァルトのソナタの左手の分散和音を弾くとき、この分散和音に感情を入れるということはさすがに難しいと思います。
一方、なぜ分散和音が使われているのか考えてみると、聴いている人に心地の良いリズムを聴かせるためだったり、和音の変化を流れるようにしたかったり、当時の音楽様式に則ったものだったりという色々な理由が見えてくることがあります。
風景が思い浮かびにくい曲であっても、その曲を作ったとき「誰が何のために作曲した」という理由が必ずあるはずで、その理由を見つけることが風景や感情が見えにくい曲の表現方法の一つになると思います。
正統的にクラシックを勉強されている人は、作曲家の人間関係や時代背景など細かい部分まで知っているとは思いますが、全員がそこまで把握している必要はないので、こうした部分については、自分なりの解釈で、しかし大きな矛盾がない範囲で理由が見つかると個性のある音楽表現につながると思います。
感情を入れて弾く練習【日本の古くからの音楽を弾いてみる】
感情を入れて弾くということに今ひとつピンと来なかったり、練習方法に迷う人は文部省唱歌のような昔から日本で歌い続けられているような曲を弾くことは一つのヒントになります。
こうした曲は今の小中学生や高校生などがどう感じているかは分かりませんが、多くの人にとっては何か懐かしさを感じるのではないでしょうか。
例えば「赤とんぼ」を歌ったり弾いたりすると私は日本の夕暮れのイメージや秋の風景が自然と思い浮かぶことがあります。皆さんはいかがでしょうか?
曲を弾くときは作曲家の意図を汲み取るということももちろんですが、自分の個性を表現をするためには一人一人違う体験によってできあがった頭の中の風景や感情を音にすることが大切だと思います。
こうした曲の練習のためのオススメの楽譜は以下の通りです。
テクニック的には超絶技巧が必要な難しさはありませんが、初見では弾けませんでした…。
どちらの曲もアレンジがとても素敵なので興味がある人はぜひ手に取って弾いて見ると自分の音楽表現の幅が広がると思います!
まとめ
今回は音楽表現のためのヒントについて記事にしてみました。
誰が弾いても同じ曲に聴こえるのではなく、演奏者によって少し違うのは演奏者によって過去に体験してきたことが異なることが理由のひとつだと思います。
自分にしかできない音楽表現を個性として自分の演奏に取り入れることができるとさらに魅力的な演奏ができるようになると思いますので、私も日々精進したいと思います。
ゆきふり