「ねこふんじゃった」を弾くと必ず出てくる手の交差ですが,普通のピアノ曲ではあまり出てくる技術ではないかもしれません。
今回はそんなピアノを弾くときの手の交差について記事にしてみます。
手の交差の4つのパターン
ピアノを弾いているとたまに出てくる手の交差ですが,手の交差には4つのパターンがあると思っています。
- 右手が左手の上から交差する
- 右手が左手の下から交差する
- 左手が右手の上から交差する
- 左手が右手の下から交差する
「ねこふんじゃった」では,3の「左手が右手の上から交差する」方法で弾くと思います。
基本的には動き続けている手の上を超えて手を交差するということが多いため,1か3のパターンが多いですが,曲によっては右手と左手で音階を受け継ぎながら弾く場合などは「下から交差する」という方法の方が滑らかに弾けるという場合もあります。
曲を弾いていて出てくる「手の交差」についてはこの4つのパターンで一番弾きやすい手の交差のパターンを選ぶことが大切なことだと思います。
手の交差を使った練習曲
手の交差を練習するための簡単な曲としては以下のものがあります。
- ブルクミュラー 25の練習曲 24. つばめ
- ツェルニー 30番練習曲 第27曲
これらの曲では跳躍のために手を交差するという動きがありますので,基本的な手の交差の運動を覚えるために有効です。
手を交差すると交差する運動を意識するがあまり,交差した後の音に意識がいかなくなることもありますが,こうした基本的な練習曲で交差する前と交差した後で音のクオリティが落ちないように意識することも大切です。
ハノンを使った手を交差したときの練習方法
ハノンを弾いているとなかなか手の交差が出てきませんが,ハノンを使っても練習することはできます。
それは「手を交差して右手と左手を入れ替えて弾く」ということです。
いつもは右手で聞こえてくる音が聞こえず,やってみると動きだけでなく出てくる音にも違和感があるかもしれません。(私は違和感ばかりでした…)
非常に単純な練習方法ではありますが,ハノン以外の色々な曲でも使える技術ですので,ぜひ興味がある人はこうした練習もしてみていただければと思います。
手を交差を効果的に使った曲を3曲紹介します
手を交差する曲はたくさんありますが,ここでは代表的な曲を3つ示します。
これらの手の交差は上の3.「左手が右手の上から交差する」というものですが,それぞれ使う技術が違います。(→に具体的な内容を書いてみました)
- 2つのラプソディOp.79-2:ブラームス(→伴奏を弾きつつメロディを受け継ぐための手の交差)
- ホルベルク組曲より「プレリュード」:グリーグ(→右手を伴奏にして左手でメロディを弾く手の交差)
- ピアノのためにより「プレリュード」:ドビュッシー(→細かい手の交差)
2つのラプソディOp.79-2
この曲は,曲の冒頭から「3.左手が右手の上から交差」が出てきます。
聴いているだけでは手を交差しているかは分かりにくいのですが,メロディと伴奏を行ったり来たりする基本的な交差の動きがあります。(楽譜と対応してみると良いかもしれません)
この曲は縦に決める音楽と横に流れる音楽が美しく,大げさかもしれませんが,弾いていて心躍る部分や思わず涙が出そうになるような部分もあります。
私も高校生の時に弾いてから虜になったくらい大好きな曲です。
ホルベルク組曲より「プレリュード」
弦楽合奏でも非常に有名な曲ですが,この曲では曲の最初に出てくるメロディを左手を使って演奏します。
右手が細かい動きをしている中で左手でゆったりとしたメロディを演奏するという技巧的にも音楽的にも聴かせどころの多い曲だと思います。
また,手の交差の幅が大きいので座っている姿勢や手の形があまり崩れないようにするということも大切になってくると思います。
動画では0:44~で左手で高音部のメロディを演奏しますので,参考にしていただければと思います。
ピアノのためにより「プレリュード」
以前にグリッサンドの有名な曲として紹介したピアノのためにのプレリュードですが,この曲では右手の細かい動きの上を左手が行ったり来たりするというかなり難易度が高い手の交差が出てきます。
手の交差というよりは手の位置が被っているといった方が良いかもしれませんが,この手の交差は練習したことがない人は右手の動きを邪魔してしまったり,左手で思った音に着地できなかったりと非常に苦労するかもしれません。(私はきれいに弾けるようになるまですごく苦労しました。)
曲はすごくカッコいいので,弾いたことがない人はぜひトライしていただければと思います。
動画では手の交差する場所が1:20~出てきます。
まとめ
手を交差した技術と練習方法及び手の交差を使った曲について紹介しました。
普段からあまり手を交差した練習をする人は少ないと思いますが,曲によって適切な手の交差方法は違うので,手の交差が出てきたタイミングで自分が弾きやすい方法を見つけることが大切だと思います。
手を交差した上で音をコントロールして弾くということは結構難しく「ねこふんじゃった」では高度なテクニックを使っているとも言えるかもしれません。
この記事が皆さんの役に立てば嬉しいです。