基礎練習について(指のトレーニング)

ピアノ

ピアノを弾くときに指が早く回ることはピアノを弾くために大事なスキルです。基礎練習が嫌いという方も多いかもしれませんが,自分が夢見るたくさんの曲をうまく弾くためには必ず通るべき道だと思います。

ピアノを弾く手を作るための指のトレーニングとしてはどのようなものがあるか紹介します。

指のトレーニングの曲集

指のトレーニングとして有名な曲集と言えば,以下のものがあります。

  • ハノン(ピアノの名手になる60の練習曲)
  • リトル・ピシュナ(48の基礎練習曲)
  • ピシュナ(60の練習曲)

ハノンによる基礎練習

ハノンはピアノを習ったことがあれば誰しもが取り組んだことがあるのではないでしょうか。しかし,ハノンを全曲取り組んだことがある人は少ないかもしれません。

ハノンは以下の構成になっています。

  • 第1部(第1番~20番)
  • 第2部(第21番~43番)
  • 第3部(第44番~60番)

第1部はどの指も①素早く動く,②1本ずつ独立させる,③力強くなる,④つぶをそろえるための練習,第2部はさらに進んだテクニックを得るための練習,第3部は最高のテクニックを得るための練習となっています。

ハノンの上記の目的を達成するためには,各部ごとに進めるだけでも効果が出てくると思いますが,普通に楽譜に書いてあるものをパラパラ弾いているだけではハ長調(C-dur)のみかつ単調な練習となってしまいます。

ゆきふりは中学生の時に習っていた先生が変わった時に「ハノンのはじめの方のページを読んだことがある?」と言われたことがありました。

ハノンの最初のページにはリズムによる変奏や転調して(調を変えて)練習する例が記載されていました。

ハ長調だけでなく,ニ長調やト長調でハノンを練習したことはあるでしょうか。

黒鍵と白鍵が混ざったハノンは以外とスポーツ的な快感があって楽しかった記憶があります。習っていた先生によるのかもしれませんが,ゆきふりとしては,早く知りたかったと思う一心でした。(ちゃんとテキストを読んだことがない自分のせいですね)

アクセントの位置を変えたり,黒鍵と白鍵が混ざった調性での練習をすることで実際の曲に活かせる技術がたくさん身に着きます。また,根気がいりますが,ハノンを全てこなすことでピアノを弾く多くの技術が身に着きます。

余談ですが,日本では全音楽譜出版社などから「全訳ハノンピアノ教本」として販売されていますが,「ピアノの名手になる60の練習曲」という名前になっています。名前だけで少し印象がかわりますね。

ピシュナやリトルピシュナによる基礎練習

ピシュナやリトルピシュナという教本を聞いたことがある人はどのくらいいるでしょうか。ゆきふりも知ったのは数年前ですが,大変おすすめな教本です。

身に着けられる技術としてはハノンとほぼ同じですが,以下の特徴があります。

  • 指の独立と均等
  • 各指間の拡張
  • 親指の回転
  • 手の移動

ピシュナは全ての曲が半音ずつ転調していき,1曲弾くと全調の練習になります。また,保持音がある曲が多く,ハノンにはないような指の筋肉の使い方ができるトレーニングが含まれています。

また,ハノンは右手と左手で同じ音を弾きますが,ピシュナでは右手と左手の動きが異なります。そのため,ハノンでは身に着けることができない「譜読み」や「楽譜への慣れ」を身に着けることもできます。

難点としては,一通りの技術は身に着けられるのですが,技術のステップがハノンよりも大きいのではないかと思います。一度ピアノを習ったことがあるという人にはかなりおすすめですが,難易度の体感値が分からないので初心者でリトルピシュナを使っている人がいれば,効果や感想などを参考にしたいですね。

今までハノンだけやっていて,新しい基礎練習をしてみたいという人にはぜひおすすめです。ピアノに限らずですが,やったことのない基礎練習をすると一気に上達するということはしばしばありますので,ぜひ試してみてください。

時間のない人の基礎練習

ピアノを弾く時間を毎日何時間も取れれば,ハノンやピシュナによる基礎練習は非常に有効だと思います。しかし,それほど時間を取ることができない方も多いと思います。そういった人におすすめな基礎練習は以下の通りです。

  1. スケール(音階):ハノン No.39
  2. アルペジオ(分散和音):ハノン No.41
  3. カデンツ(和音):ハノン No.39
  4. クロマチックスケール(半音階):ハノン No. 40

スケールとアルペジオを全調(24調)だけでもかなり効果があります。高校を卒業した後,長くピアノに触れていなかった時期もありましたが,中学生の時に時間をかけて全調できるようになったおかげで技術の劣化はあったものの,根本的な技術まで失われることはありませんでした。

スケールとアルペジオを全部の調で弾くと慣れてくれば10分くらいで終わります。身に着けるまではじめは時間がかかりますが,指使いなど錆びない技術が身に着きますので,まだできないなという人はゆっくり身に着けることをおすすめします。ゆきふりは中学校の時に1か月くらいかけて練習した記憶があります。

さらに発展させて

最も良い基礎練習のひとつは,「自分の苦手な技術をまとめた曲集や練習曲を作ること」だと思います。ピアノを習っている人は自分が上手く弾けない部分の印をつけておいて,レッスンで合格しても時々練習をすると良いと思います。

ピアノを習っていたことがある人は,以前弾いたことのある曲を弾いてみてできるようになった部分と相変わらずできていない部分があるかもしれません。

最後に

上達のためには自分で何ができていて何ができていないのか,何をすれば上手くなるのか分析することが大切だと思います。ハノンやピシュナといった指の練習教材は英語でいうよく出る単語帳のようなものかもしれません。

自分の得意な技術と苦手な技術と向き合って自分に合った基礎練習を見付けるための一助となればと思います。

※ちなみに本記事の上部の画像の教本は上級者向け基礎練習教材のコルトーとドホナーニの曲集です。

ゆきふり

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