ピアノの上達の近道:分散オクターブの音階【意外と動かせていない親指と手の形の体得へ】

ピアノ

ピアノを弾くときに親指の動きが遅くて悩んだことはありませんか?親指のコントロールができるようになると上達が早くなりますし,演奏に安定感が生まれます。今回は親指の動きを高める練習を紹介します。

親指の動きについて

半音階の記事で親指の俊敏性や柔軟性について記事にしましたが,今回は特に親指の俊敏性ということに注目してみます。

親指を使ったトリルは得意ですか

皆さんは親指を使ったトリルは得意でしょうか。バッハのインベンションの長いトリルは1と3の指を使うという人もいると思いますが,その時に指を動かせているでしょうか。私はトリルが非常に苦手だったころは1と3の指を使って手を固めて手首を回転させるようにしてトリルを弾いていました。確かに回数を稼げて弾けたように感じるのですが,指を動かしていたわけではないのでテクニックの一つとして使っていただけでした。(あまり良いテクニックとは言えませんが…)

実際に親指を使ったトリルが得意という人はかなりステップが進んでいると思いますが,こういう人は以前記事にした半音階についてもスムーズに弾けるだけのテクニックを持っている人が多いのではないでしょうか。私は半音階がスムーズに弾けるようになるころには親指を使ったトリルで指を動かして弾けるようになりました。

分散オクターブの音階をスムーズに弾けますか?

分散オクターブの音階としてハノンのNo.56があります。手元に楽譜がない人のために簡単に譜例を紹介します。

これを弾いてみると安定して弾けないという人も多いのではないでしょうか。私も下りの左手は苦手です。どうしてできないか少し考えてみると,以下の原因が考えられます。

  • 親指と小指を固めて弾いている
  • 上行形と下行形で手の幅が変わる

親指と小指を固めて弾いている

親指と小指をがっちり固めて手首を回転させて弾いている場合,指が鍵盤から大きく離れてしまい,打鍵するときに指を下ろす位置を狙う必要があります。ミスを減らすためには鍵盤の上に指を置いて準備をしておくことが大事になります。指を鍵盤に置いたまま分散オクターブを弾いていくためには指を動かしてあげる必要があります。もちろん,手首も使って弾きますが,がっちり手を固定して弾くという意味ではありません。

上行形と下行形で手の幅が変わる

オクターブで上がっていくときと下がっていくときでは鍵盤間の距離が変わります。特に下行形では大きく手を開かないといけなくなります。これを認識して瞬時に対応できる人は特に問題になりませんが,なかなかミスが減らないという人は意識してみると良いです。

弾いてみると気づくこと

分散オクターブを弾いてみて気づくこととしては,

  • 親指が全然上がっていない
  • 白鍵を弾いている位置が手前過ぎる

ということがあります。特に,親指が上がっていなくて,意識してみると指の付け根の筋肉がつりそうになる人もいるかもしれません。それだけ親指に余計な力が入っていたり可動域が足りなかったりするという未熟さを感じる私のような人もいるかもしれません。それだけ親指の動きに余裕がないとも言えます。十二分の技術(できること)を持ったうえで技術(使うべきもの)を選択できるようになることは演奏の幅も広がります。

他にも,黒鍵と白鍵の混ざった調(ハ長調やイ短調以外)の分散オクターブを弾いてみると黒鍵の部分に差し掛かった時に余裕を持って弾けないということがあります。手が小さい人にとってはオクターブ奏法そのものの難易度が高いかもしれませんが,手の開きを意識してみると手が小さくても1オクターブは十分に届くようになります。曲で安定した演奏をするためには,打鍵する位置も工夫する必要がありますが,様々な練習を通して白鍵と黒鍵をどちらも弾ける位置で弾けるようにしておくことが大事です。

まとめ

上達のための練習として分散オクターブを取り上げてみました。分散オクターブは曲でたくさん出てくる技術ではありませんが,自分の演奏の幅を広げるために必ず身につけてほしい技術のひとつです。特に,親指はピアノを演奏するときに重要な役割を果たすことが多いので,安定性や安心感がつくと演奏に余裕が出やすくなります。私も分散オクターブを全調スラスラと弾けるわけではありませんが,日々精進したいと思います。

ゆきふり

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