少し前の話になりますが,2019年は観測史上最も早く元旦に台風第1号が発生しました。元旦に台風が発生したのは観測史上初めてのことでそれよりも早い台風の発生記録は気象庁のHPによると1979年1月2日だったそうです。
(参考:https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/ranking/late_early_g.html)
その時の台風は日本に被害をもたらすことはありませんでしたが,近年は強い台風が上陸することで多くの被害が発生しています。今回はその台風に注目します。
皆さんは台風の強さと大きさについて考えたことがあるでしょうか
台風と熱帯低気圧の違い
日本では,東経100~180度の北太平洋に発生した熱帯低気圧のうち,最大風速が17.2m/s以上になるものを台風と言います。次の表のように分類されます。
表の中のktはノットという速さであり,1ktは1時間に1海里(1kt = 1.852 km/h = 0.5144 m/s)進む速さを表します。また,表の中の最大風速は10分間の平均風速の最大値です。最大風速の区切りが中途半端に見えるのはノットで区切られているからということですね。
台風の強さと大きさ
台風シーズンになるとテレビで気象予報士が「大型で強い台風が本州に上陸します」と言っているのを聞いたことがあるかと思います。台風の強さと大きさで呼び方は異なります。台風のニュースで見る2つの円(個人的には黄色と赤の場合をよく見ますが)は次の領域を表します。
- 強風域:平均風速が15m/s以上の領域
- 暴風域:平均風速が25m/s以上の領域
大型や超大型の台風という言葉は台風の強風域の大きさを表します。
一方,「強い」,「非常に強い」,「猛烈な」という言葉は最大風速の大きさを表します。
つまり,「大型で非常に強い台風」は強風域(平均風速15m/s以上の領域)が500m以上800m未満で中心付近の最大風速(平均風速の最大値)が44m/s以上54m/s未満の台風ということになります。
最大瞬間風速と最大風速
テレビの台風のニュースで「中心付近の最大風速は30m/s,最大瞬間風速は45m/sとなっています」という報道を聞くことがあるかと思います。台風の分類の表に書いてあるように,最大風速と最大風速は定義が違います。
- 最大風速:10分間の平均風速の最大値
- 最大瞬間風速:3秒間の平均風速(瞬間風速)の最大値
よく誤解されることがありますが,最大瞬間風速は瞬間風速の最大値であるため,瞬間最大風速ではありません。ちなみに,最大風速と最大瞬間風速はどのくらい違うのかというと,環境によっても異なるようですが,台風のような強風時に注目すると1.5~2.0倍であることが多いようです。この最大風速と平均風速の比はガストファクターと呼ばれます。
台風の回転方向
台風は反時計回り回転します。そのため台風の風速分布は一定ではなく,台風の進行方向右側では風速が高くなり,左側では風速が低くなります。右側が危険半円,左側が可航半円と呼ぶようです。台風の目は天気が良いとか,雲がないという話をする人もいますが,今後は台風の目の位置だけでなく,台風の右側か左側かにも注目してみると良いかもしれませんね。
まとめ
記事を書いたのはまだまだ台風シーズンは先ですが,今回は台風の強さと大きさを記事にしてみました。2021年はまだ台風が発生していませんが,今後の台風情報を聞くときに少し注意して聞いてみると良いのではないでしょうか。
ゆきふり
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