練習曲というとつまらない印象を受ける方もいるかもしれませんが,ショパンの別れの曲,革命,黒鍵,木枯らしといった有名な曲も実は練習曲なのです。
練習曲は曲を活かしたトレーニング教材
ハノンが好きではない一方でツェルニーが好きだという人もいると思います。練習曲は技術を身に着けるために曲を活かしてトレーニングをする方法です。
有名な練習曲の教本としては難易度順に以下のようなものが考えられます。
- バイエル
- ツェルニー(100番→30番→40番→50番)
- クラーマー=ビューロー(60の練習曲)
- モシュコフスキー(15の練習曲)
- ショパンのエチュード(Op.10, Op.25)
私はバイエルとツェルニー100番は取り組んだことがないのですが,ツェルニー30番と40番は小学校から中学校の間にレッスンで全曲弾いたことがあります。50番はレッスンでは取り組んだことはありません。
ツェルニーには指定のテンポがありますが,30番を取り組み始めた小学生の当時は速すぎて全くついていけませんでした。
「ショパンのエチュードを全曲弾いたことがありますよ」とかっこよく言いたいところですが,まだ半分程度しかこなせていません。譜読みがもっと早くなったら全曲取り組んでみたいなと思っています。
クラーマ―=ビューローの60の練習曲とモシュコフスキーの15の練習曲はショパンのエチュードの前に取り組むものとして取り上げられることが多いです。特に,クラーマー=ビューローはツェルニー40番では少ない左手のトレーニングが多いように感じます。バランスが良く,ロマン派を演奏するために役立つテクニックも多いです。
モシュコフスキーのエチュードもとても素敵な曲が多いですね。最近はYouTubeなどで演奏動画をアップロードしている方もいるので一度聞いてみると良いかもしれません。
練習曲の効果
練習曲は数曲こなすだけでは効果が十分には得られません。可能であれば,全曲取り組むことが重要です。作曲者もそれを考慮して作曲しているのではないかと感じる部分も多いです。
練習曲をこなすと,以下の力がつきます。
- テクニックが身に着く(適切に使えば弾けないところが弾けるようになる)
- 読譜力が高まる(譜読みが早くなる)
- 曲を形にするまでの時間が短くなる
今,ピアノを習っている方で曲を弾くのにいっぱいいっぱいな方もいらっしゃるかもしれませんが,練習曲のレベルを適切に設定することがピアノの上達の近道になると思います。
練習曲のレベルの設定
練習曲のレベルの設定としては,譜読みや弾けるようになるまでに数時間かかるようなものは自分のレベルよりも難しいものかもしれません。ただ単に演奏のためのテクニックを身につけるのであれば,もっと効率の良い練習曲(ハノンやピシュナなど)を使う方が良いと思います。
例えば,レッスンでツェルニー30番に取り組んでいる人はバイエルやツェルニー100番,ツェルニー40番に取り組んでいる人はツェルニー30番の練習曲といった練習しているものよりも一段階簡単な練習曲も弾いてみることもおすすめします。
使う鍵盤が少なかったり,楽譜が簡単なはずなのにすぐに弾けないということがあるかもしれません。そのときに,なぜうまく弾けないのかということを自分なりに分析することが大切となります。
また,練習曲を振り返ることで演奏に余裕がなかったころと余裕が出てきたころが分かり,自分の成長も感じることができるかもしれません。
基礎練習を好きになるには
基礎練習が好きではない人は
- 曲が単調で面白くない
- 成果が見えない
といったことが原因のひとつだと考えられます。レッスンから少し離れている人で特に弾きたい曲が見つかっていない人には比較的難しくない練習曲(ツェルニー100番や30番)をおすすめします。
難しいテクニックが詰まっている曲もあるので,ゲーム感覚でクリアできるかという挑戦も可能です。私は最近,ツェルニーの曲の番号の1の位と日付の1の位が一致する曲をまとめて弾いてみるようなチャレンジをしています。昔はできなかったことや今はなぜかできることなど自分のテクニックのメンテナンスになるとともに,相変わらず弾けないところをどうやって弾けるようにするか考えています。
また,個人的には練習曲の練習をしてから,10分くらいハノンやピシュナを弾いてみて,もう一度曲を弾いてみると,指がかなり回るように感じたり,指の開き方や鍵盤への打鍵方法が変わることもあります。このようなプレイヤー本人が気づくことができる感覚の変化は快感ではないでしょうか。
最後に
練習曲は曲を使って基礎練習をするとともに,読譜力や曲を形にするまでの時間を短縮することができるものなので,できるだけ簡単な曲から少しずつ取り組んでいけるといいなと思っています。
ゆきふり
コメント