ソナチネアルバムを知っていますか?【ピアノ上達のための譜読みの基礎教材】

ピアノ

ソナチネアルバムを知っていますか?

ソナチネを弾いたことがある人は多いと思います。その中でソナチネアルバムを知っていますか?

私はピアノを習っていた先生がソナチネアルバムを選んでくださったものの,見たことがないメーカーの楽譜であったため,独自の楽譜だと最近までは思っていましたが,実はどの出版社から出ているものでも同じということに気づきました。

ソナチネアルバムはどんな曲集か?

ソナチネアルバムはクーラウやクレメンティ、ディアベリ,ベートヴェン,モーツァルトやハイドンなどの古典派の名曲が収録されている曲集です。また,提示部→展開部→再現部といったソナチネ形式の曲だけでなく,弦楽四重奏や交響曲の編曲も掲載されています。弦楽四重奏や交響曲のピアノ版はピアノだけにとどまらない音楽への興味を持つきっかけにもなるかもしれません。

私は3種類のメリットがあるもと思います。

  1. ピアノの基礎的な演奏技術の向上
  2. 難易度が比較的やさしく,譜読みがしやすい
  3. どこかで聴いたことがある有名なピアノ曲(ソナチネなど)を弾くことができる

ピアノの基礎的な演奏技術の向上

古典派の曲は音楽の基礎とも言えます。分かりやすい和音や音楽構成で基礎的な音楽を理解することができます。必要となる演奏技術としては,スケールやアルペジオ,和音などピアノを弾くうえでは不可欠な技術が要求されます。また,右手がメロディで左手が伴奏という基本形式だけでなく,右手と左手でメロディを引き継いだり,右手で伴奏を弾くというものもあります。

ツェルニーのような練習曲とは違って,この曲で○○ができるようになるという目標があるわけではないですが,総合的な演奏技術の向上につながる曲集だと思います。

難易度が比較的やさしく,譜読みがしやすい

古典派の曲ということもあり,和音やリズムが基本的なものが多く,譜読みはしやすい部類に入ると思います。もちろん,後半の曲の難易度は前半に比べると結構高いので,譜読みが大変になるかもしれませんが,曲の分かりやすさという点ではバッハのインベンションやシンフォニア,平均律に比べたらかなりとっつきやすいと思います(もちろん,バッハは演奏技術の向上に不可欠なものだと考えています)。

バッハが苦手(嫌い)であるがためにピアノが嫌いになってしまったという人もいるかもしれませんが,音楽が分かりやすいソナチネアルバムを弾いてみるとピアノが楽しく感じられるかもしれません

どこかで聴いたことがある有名なピアノ曲(ソナチネなど)を弾くことができる

クレメンティのソナチネ(Op.36-1)はテレビ番組などでもよく聴く有名なソナチネがあります。ソナチネアルバム1の後半にはモーツァルトのソナタ(K.485)も収録されているなど,全曲ではありませんが,どこかで聴いたことがある曲が収録されており,「ピアノ弾いてみて!」と言われた時に披露する曲のレパートリーになる可能性の高い曲がたくさんあります

意外にもソナチネ以外の曲が半分くらいある!?

ソナチネだけでなく,ソナタも含まれています。また,それだけでなくソナチネアルバム2の最後の曲はメンデルスゾーンの無言歌集が取り上げられているなど,ピアノの基礎的な演奏技術の向上のために様々な曲が含まれていることが分かります。収録曲について記載しますので,気になる人は見ていただければと思います。

収録曲

ソナチネアルバム1及び2の収録曲は以下の通りです。

ソナチネアルバム1

ソナチネアルバム1には以下の曲が含まれています。

クーラウ : 3つのソナチネ 作品20 第1~3番

クーラウ : 6つのソナチネ 作品55 第1~3番
クレメンティ : 6つのソナチネ 作品36 第1~6番

ハイドン : ピアノソナタ第35(48)番 ハ長調 作品30-1 Hob. XVI:35
モーツァルト : ピアノソナタ第16(15)番 ハ長調 K. 545
ベートーヴェン : ピアノソナタ第20番 ト長調 作品49-1「やさしいソナタ」
ベートーヴェン : ピアノソナタ第19番 ト短調 作品49-1「やさしいソナタ」
デュセック : 6つのソナチネ 作品20(19) 第1番 ト長調
J.S.バッハ : 前奏曲 ハ長調 BWV 846 (「平均律クラヴィーア曲集 第1巻」より)
ベートーヴェン : 2つのロンド 作品51 第1番 ハ長調
ベートーヴェン : アンダンテ (交響曲第1番 ハ長調 作品21 第2楽章より)
ハイドン : アダージョ ホ長調 (弦楽四重奏曲第74番 ト短調 作品74-3「騎士」 第2楽章より)
ハイドン : アンダンテ・グラツィオーソ 変ロ長調 (弦楽四重奏曲第73番 ヘ長調 作品74-2 第2楽章より)
ハイドン : アレグロ ヘ長調 (弦楽四重奏曲第73番 ヘ長調 作品74-2 第4楽章より)
ハイドン : アンダンテ ハ長調 (交響曲第94番 ト長調「驚愕」 第2楽章より)
モーツァルト : ロンド ニ長調 K. 485
シューベルト : 4つの即興曲 作品142 D 935 第3番 変ロ長調 (主題部分)
シューベルト : 2つのスケルツォ D 593 第1番 変ロ長調
シューベルト : アンダンテ (ピアノソナタ第13番 イ長調 作品120 D 664 第2楽章)
ウェーバー : ビアンキの『ここにおいで、美しきドリーナよ』の主題による7つの変奏曲 ハ長調 作品7 から主題と第1変奏
シューマン : 子供のためのアルバム 作品68より第40曲「小フーガ」 (音楽之友社版のみ)
メンデルスゾーン : 3つの幻想曲、または綺想曲 作品16 第1番 イ短調 (全音楽譜出版社版)

ソナチネアルバム2

クーラウ : 6つのソナチネ 作品55 第4番 ヘ長調
クーラウ : 6つのソナチネ 作品55 第5番 ニ長調
クーラウ : 6つのソナチネ 作品55 第6番 ハ長調
クーラウ : 4つのソナチネ 作品88 第1番 ハ長調
クーラウ : 4つのソナチネ 作品88 第2番 ト長調
クレメンティ : ピアノソナタ ニ長調 作品37-2(4-1)
クレメンティ : ピアノソナタ ト長調 作品38-1(4-4)
クレメンティ : ピアノソナタ 変ロ長調 作品38-2(4-5)
クレメンティ : ピアノソナタ ヘ長調 作品38-3(4-6)
ベートーヴェン : 2つのソナチネ Anh.5 第1番 ト長調 (第5番)
ベートーヴェン : 2つのソナチネ Anh.5 第2番 ヘ長調 (第6番)
デュセック : 6つのソナチネ 作品20(19) 第4番 イ長調
ディアベリ : ソナチネ ト長調 作品151-1
ディアベリ : ソナチネ ハ長調 作品151-2
ディアベリ : ソナチネ ヘ長調 作品151-3
J.S.バッハ : 小さな前奏曲 ハ長調 BWV 939
J.S.バッハ : ブーレ ホ短調 BWV 996
J.S.バッハ : インヴェンション 第1番 ハ長調 BWV 772
ベートーヴェン : パイジエッロのオペラ『水車屋の娘』の二重唱「もはや私の心には感じない」による6つの変奏曲 ト長調 WoO.70
ボッケリーニ : メヌエット ハ長調 作品11-5 (弦楽五重奏曲 ホ長調 G. 275 第3楽章より)
ヘンデル : サラバンドと変奏 ニ短調 HWV 437
ハイドン : アンダンテ ニ長調 (歌曲「愛しい少女は私に耳を傾け[7]」Hob. XXVb:G1からの編曲)
ハイドン : セレナーデ(アンダンテ カンタービレ) ハ長調 (弦楽四重奏曲第17番 ヘ長調 作品3-5 第2楽章より)
フンメル : ロンド ハ長調
クーラウ : 「ドン・ジョヴァンニ」からロンド ハ長調 作品31-1
シューマン : 子供のためのアルバム 作品68より第10曲「楽しき農夫」
シューマン : アルバムの綴り 作品124より第6曲「子守歌」
シューマン : 子供のためのアルバム 作品68より第14曲「小さな練習曲」
チャイコフスキー : 子どものアルバム 作品39より第15曲「イタリアの歌」
メンデルスゾーン : 無言歌集 第1巻 作品19より第4曲「信頼」(全音楽譜出版社版)
メンデルスゾーン : 無言歌集 第2巻 作品30より第3曲「なぐさめ」(全音楽譜出版社版)

(参考:Wikipedia)

まとめ

ピアノを習った人にとっては一度は弾いたことがあるソナチネが収録されている「ソナチネアルバム」について紹介しました。

ソナチネアルバムは正統派な古典の曲であるため,音楽の基礎を勉強するためには非常に有効です。今まで弾いたことがない人は取り組んでほしいと思う曲集です。

一方,前半は良かったものの,後半になるにつれてなかなか譜読みがスラスラ進まないという場合もあると思います。そういう場合はもっと簡単な曲を弾いて譜読みの技術を身につけるということがおすすめです。上手くいかないときに挫折せず,少し簡単な曲集(プレインベンションやツェルニー100番など)を練習することで,まずは譜読みに対する抵抗を減らして,新しい曲に取り組むハードルをどんどん下げるということを目指して取り組むことが大切だと思います。

かくいう私はソナチネアルバムを一通り弾いてみたものの,後半になるにつれて初見ではたどたどしい演奏になってしまう状況なので,さらに精進が必要だと思っています。最近は,ソナチネアルバム1に収録されているベートヴェンの交響曲第一番のピアノ版がオーケストラのように弾けるように挑戦中です。

これからも上達するための一歩を皆さんと歩めればと思います。

この記事が皆さんの役に立てば嬉しいです。

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