ピアノを弾くとき多くの曲で跳躍があると思いますが、跳躍の動きは得意でしょうか。今回は跳躍でミスタッチが多い人に向けてその原因と練習方法を紹介します。少しでも跳躍の苦手な人のミスが減るヒントになればいいなと思います。
跳躍でなぜミスが出るのか
曲の中の跳躍は色々なところで出てきますが、なぜ跳躍でミスをしてしまうか考えたことはあるでしょうか。原因の一つとして「練習が足りない」ということを考える人もいらっしゃるかもしれませんが、100回練習したのに上手くいかないという人もいるかもしれません。跳躍でミスタッチをしないようにするためには「練習が足りない」という根性論ではなく、「弾く前に準備をする」ということが重要となります。
待っていればミスしない
ピアノを弾く時に指を鍵盤の上に用意して後は押すだけの状態になっていれば音のミスタッチは無くなります。もちろん音量やタイミング、音色のコントロールは必要にはなりますので、100%ミスをなくせるわけではありませんが、鍵盤のミスタッチについてはかなりの確率で音のミスを減らすことができます。つまり、跳躍に限らず弾く前にしっかり準備ができていればミスは極限まで減らすことができます。跳躍をして準備をするときに必要なコツとしては「跳躍の距離を短くすること」です。
移動する最短距離を考える
ピアノの音が鳴るのは鍵盤を押したときです。そのため、鍵盤を押さない状態で行う動きは音には直接は関係ないとも言えます。ということは、跳躍の音を弾くためには跳躍する先まで最短距離で移動することが大切となります。ここでは手の移動について考えてみます。
最短に移動するのは水平移動
最も短い距離で移動するためには弾いた音からできる限り水平に移動することが重要となります。できるだけ手を鍵盤から高く上げずに手を横に移動させて、移動先で次に押さえる鍵盤の上に指を置くだけの準備をすればOKということです。水平移動を行う場合、動作のステップとしては次の動作が必要となります。
- 跳躍前の鍵盤を押さえる
- 移動する
- 目的の音で水平移動を止める
- 跳躍後の鍵盤を押す
まずは跳躍の練習をする上では最短距離で素早く移動する練習が重要になります。この最短距離での動きがある程度身についたタイミング水平移動にほんの少しの上下移動を加えます。最短距離ではなく最速で効率よく跳躍をするためには水平移動に少し上下の動きを出してあげる必要があります。
水平移動に上下移動を加えて動作を短縮する
最速で移動するためには、水平移動に加えてほんの少しだけ上下移動を加えてあげることが重要となります。水平方向だけでは手を止めるという動作が必要になりますが、少し上下方向の動きを加えてあげると、3の動きの負荷がかなり小さくなります。イメージとしては立ち幅跳びで少し先の地点へジャンプして着地する感じです。こうすることによって、無駄なく最速で跳躍をすることができます。できるだけ上下方向の移動は小さくするべきではありますが、高速で水平移動のみを行う場合、速く動かせば動かすほど目的の地点で手を止める動きに余計な力を多く使ってしまいますが、立ち幅跳びのような動きができるようになると、移動が見違えるようにスムーズになります。
ミスタッチが少なくなる練習方法【頼りになる音を使う】
跳躍でミスタッチを減らす練習方法としては色々なものが考えられますが、その一つとして頼りになる音を使うという方法があります。例えば、左手で跳躍するとき,跳躍前に一オクターブで押さえている左手の親指の位置に小指を持っていったり,親指の位置から鍵盤5つ分離れた部分に小指を持っていくというような目安を持つ方法です。跳躍でミスをする原因としては準備が不足しているということもありますが、それに加えて「どこまで飛べば良いかわかっていない」ということもあります。実際にどこまで飛ぶのかという距離感が分かっていれば、そこに手を持っていく運動をスムーズにしてあげればミスタッチを減らすことは可能と考えられます。頼りになる音を使って素早く手を動かせるようになると演奏の安定感はかなり出てきます。その上で、手の形が崩れず安定した手の形で跳躍ができるようになると、ミスタッチはかなり減ります。跳躍が苦手な方は以下のことを意識して練習をできると良いと思います。
- 手を素早く移動させる
- 跳躍した先で準備をする
- 移動の方向を考える
- 手の形が崩れないようにする
- 音の相対的な距離感を考えながら弾く
まとめ
今回は一つのコツとして準備と移動方法の考え方について紹介しました。跳躍はピアノの見せ場の一つとなります。跳躍がスピードとして間に合わないという人はぜひ準備と移動方向を確認してみていただければと思います。安定感が欲しいという人は手の形を崩さず頼りになる音を使って距離感を考えながら練習すると,今よりも素早く効率的に跳躍ができるようになると思います。跳躍が苦手な人のヒントになればと思います。
ゆきふり