今日もピアノを楽しく弾こうと思ってピアノの前に座って,鍵盤に手を置いて弾き始める。ちょっと待った!今弾こうとしている曲のテンポは決まっていましたか。曲を弾き始める前に呼吸をして拍を数えてみませんか。
曲を弾く前に拍を数えていますか?
合唱では歌い始める前に指揮者の合図で全員で1,2,3,4と数えてから歌いだすことが多いのではないでしょうか。あるいは,ピアノのレッスンで先生によっては,3,4と拍を取ってから弾かせるという先生もいらっしゃると思います。
しかし,自分ひとりでピアノを弾くときには皆さんはどうやって曲を弾き始めていますか?案外,拍を数えてから弾き始めるという人は多くないのではないでしょうか。拍を数えずにも弾き始めることはできますが,拍を数えてから弾き始めると弾き始めた冒頭から安定したテンポで弾くことができるようになります。
練習と本番で異なる曲を弾く前の心構え
弾く前に拍を数える理由としては,流れを作ること,タイミングを合わせること,そして弾く準備をすることが挙げられます。
例えば,人前で本番の演奏をするとき,多くの人は椅子を調整していきなり座って弾くということはないのではないでしょうか。少し深呼吸をして,ペダルの動きを確認して,鍵盤に手を置いて。そして,自分のタイミングで曲を開始するのではないでしょうか。
そうして弾き始める時,多くの人は曲に応じた呼吸をしているのではないでしょうか。速い曲では鋭い呼吸,ゆったりとした曲では深い呼吸など。
人によっては弾き始める前の拍を数えている人もいると思います。そうした前の拍からの流れを持ったまま曲に入るということは音楽の流れを作る上でもとても重要なことだと思います。練習ではほとんど拍を数えてから弾いたことがないという人は練習からやってみると曲の上達度が大きく変わりますし,本番でもいつもの練習と同じルーティーンが出来上がります。
意外とできていないテンポキープ
練習で拍を数えて弾いてみるということはとても重要なものとなりますが,やってみると意外とテンポキープができていないということが分かります。弾き始めに数えていたテンポの通りに最後まで弾くということは極めて難しく,得意なところで速くなり,苦手意識のあるところで自然と遅くなるなどの癖出てしまうことも多いと思います。聴いている人に心地の良い音楽を届けるためには,音楽の流れを作る重要な要素であるテンポをもっと大切に考える必要があります。
テンポをキープするための練習というと,多くの人はメトロノームを使った練習を考えるかもしれません。曲によっては効果的なものではありますが,ショパンやドビュッシーをはじめとしたテンポの揺らぎや呼吸が重要となる曲では,メトロノームを使った練習は必ずしもプラスには働きません。良い練習の1つとしては,習っている良いピアノの先生など他の人に演奏中に拍を数えてもらうという方法があります。ある意味では指揮者のような位置づけになりますが,こうすることによってテンポの揺れも再現された曲の流れを覚えることができます。特に,良い先生が歌いながら教えてくれる場合は,その通りに弾こうとするだけで上手くなったり,上手くなるきっかけがつかめるようになるためチャンスです。これは,上手い人と一緒に歌うと自分も上手くなったような気になるのと同じ原理だと思っています。ピアノは呼吸をせずにも弾けますが,呼吸感を会得することもできます。
もし,ピアノの先生に習っていない人は以下の練習がおすすめです。
- 拍を数えながら弾いてみる
- 自分で録音して録音した演奏について自分で拍を数えてみる
私は両方の練習をしますが,拍を数えながら弾く余裕がない段階では録音して自分の演奏について拍を取ってみることがあります。そうすると,テンポキープができていないことや不自然な曲のスピード感の変化などの欠点が多く分かります。正直,練習段階の演奏を録音するとすごくへこみますが,自分の欠点もよく分かり,とても勉強になります。今時は,携帯電話で簡単に録音ができるような時代になりましたので,使わない手はありません。
まとめ
今回は曲を弾く前に拍を数えるということに焦点を当てて,テンポについて記事にしてみました。本番が苦手という人は,練習から拍を数えて弾くという習慣を持っていると練習と本番の環境の違いを少し小さくすることができます。ほんの少しかもしれませんが,この違いで曲を弾き始める時に安心できるのであれば,いつもの習慣に取り入れることは悪いことではないと思います。練習も本番も弾く前の本の一瞬,拍を数えてみるのはいかがでしょうか。