ゆきふりです。
曲の中で技術を取得する目的の練習曲としてはツェルニーがとても有名ですが,今回はクラーマ―=ビューローの60の練習曲について記事にしてみます。
クラーマー=ビューローの「60の練習曲」とは?
作曲者は「クラーマ―・ビューローさん」ではなく,クラーマ―とビューローの2人の音楽家が関わっているのでクラーマ―=ビューローという名前で出版されているようです。多くの人はピアノを習っている先生からツェルニーのような曲に近い練習曲を与えられることは多いと思います。
クラーマ―=ビューローの「60の練習曲」は曲を弾きながら技術を身につけるツェルニーと似たような位置づけの曲です。
この曲集を知っていて60曲全て弾いたことがあるという人は間違いなくピアノ上級者だと思います。
それくらいピアノを弾くうえで重要な様々な技術が身につくように作曲されています。
ツェルニーとどう違うのか?
ツェルニーは「おもしろくない練習曲」「お固い練習曲」という印象がある人も多いのではないでしょうか。
ツェルニーもある程度のテンポで弾くとかっこよく聴こえる曲は多いですが,先生によっては「基礎を身につける練習」という位置づけで曲をおもしろく・楽しく弾くというのは二の次というレッスンをされる方もいらっしゃるかもしれません。(私が小さい頃に習っていた先生はそうでした…)
クラーマ―=ビューローはツェルニーと比べても弾いているだけで音楽的におもしろいと感じる曲も多いと思います。
例えば,1曲目はすごく華やかな出だしと次々と流れる音の流れに圧倒されるような勢いのある曲です。
この曲集が編纂されたのはショパンのエチュードができたころなので,ツェルニーのようにベートーヴェンのソナタやコンチェルトを美しく弾くためだけでなく,ロマン派の曲を弾くうえで重要になる技術も多く身につきます。
例えば,7番は1番のように次々と音が流れる曲ですが,和音の進み方や使い方がロマン派に出てきそうな曲に感じるのではないでしょうか。
ここでは2曲しか紹介していませんが,練習曲が固い曲という印象を持っている人にとってはとっつきやすいと感じる曲かもしれません。
難易度はどのくらいか?
YouTubeの演奏はかなりテンポが速い演奏なので「とても難しいのでは?」と感じるかもしれません。
しかし,実際は耳で聴くほど難しくはありません。
もちろん同じくらいのテンポで弾くためにはしっかりと練習が必要になりますし,技術をしっかり身につける上ではYouTubeの演奏くらいのテンポやその中での自分の表現ができるようになる必要があります。
多くの人がツェルニーを弾くときにインテンポまで目指していたか分かりませんが,ツェルニーを作曲者が指定したテンポで弾くのはかなり難しいです。
自分の弾けるテンポで確実なところから弾くのであれば,楽譜を音にするのはそれほど難しくはないです。(もちろん,曲によってはかなり難しいものもあります)
もう少し具体的な難易度を考えるとツェルニー40番がまんべんなく弾けるようになった人にはとてもおすすめで,それほど時間がかからずに弾けるのではないかと思います。
多くの曲の長さが見開き1ページなので個人的にはツェルニー40番が終わった後に50番に進むよりはとっつきやすい印象を受けます。
また,ツェルニー40番は途中まで弾けるという人もレベルとしてはそれほど離れていないので抵抗なく挑戦できると思います。
「ツェルニー30番を始めたばかりです。」という人にとっては譜読みの難易度が高く感じてしまうと思うので,できればツェルニー30番はパッと弾ける技術が必要かなと思います。
どんな効果があるか?
以下のような効果が期待できると思います。
- 様々な曲に対応できる技術が身につく(技術の幅が広がる)
- 譜読みのスピードが速くなる
- 左手の技術が高まる
- 短調の曲が上手く弾けるようになる
- 強弱に敏感になる
- 和音の進行や曲のイメージを捉える力が上がる
ここに上げたのは一例ですが,60曲全て弾けるようになるころには確実に上級者の仲間入りができます。
中級者からなかなか上級者になれないという壁を感じている人はぜひ挑戦してみると一気に上手く慣れるのではないかと思います。
楽譜は全音楽譜出版社(上)や音楽之友社(下)から出版されています。
音楽の友社の楽譜では解説がとても充実しているので解説を読みたいという方は音楽之友社の楽譜がおすすめです。
ハノンやリトルピシュナとの使い分け
ツェルニーやクラーマ―=ビューローはハノンやリトルピシュナなどとは違って曲の中で技術を習得することを目標としています。
そのため,ハノンやピシュナ,リトルピシュナといった曲集は「集中練習」や「苦手克服」に使用するのが特に効果的だと思います。
リトルピシュナについては以下の記事も参考にしていただければと思います。
早く自分の弾きたい曲を弾けるようになりたいという人は「ハノンやピシュナ,リトルピシュナ」を一通り弾けるようになることが有効だと思います。
しかし,無味乾燥な練習になってしまうと感じる人や色々な曲に触れて譜読みを早くしたいと感じる人はクラーマ―=ビューローという練習曲はとても効果があると思います。
過去に,モシュコフスキーの15の練習曲を紹介していますが,もちろんこちらもおすすめです。
こちらの方が少し曲が長くて難しいので,弾いてみたけど諦めてしまったという人は少しレベルを落としてクラーマ―=ビューローから挑戦するのも良いかもしれません。
まとめ
今回はクラーマ―=ビューローの60の練習曲を紹介しました。
この曲集はツェルニー40番が弾けるようになった人にはぜひ取り組んでいただきたいと考えています。
ちなみに私はまだまだ挑戦中で満足して弾けるようになったという曲は半分もありません…。
もっとしっかり練習して確実な技術を手に入れて上級者の仲間入りができるように精進したいと思っています。
この記事が皆さんの役に立てば嬉しいです。