1つ前の記事で譜読みのためのトレーニングを紹介しました。
今回はそのトレーニングと合わせて考えたい譜読みを早くするためのコツを紹介します。
紹介したトレーニングについてはこちらの記事を参照ください。
音符が見える範囲と音符を認識できる範囲
楽譜を見て音符の数を数えるトレーニングをすると今まで狭まっていた視野が広くなります。
視野が広くなると見える範囲が広がるので自然と認識できる範囲は広がるはずです。
しかし,いざ曲を弾いてしまうと楽譜の1点に集中してしまうという楽譜の見方をしてしまうという普段の楽譜の見方になってしまう人もいらっしゃるかもしれません。
音符の見えている範囲と音符が認識できる範囲は違いますが,譜読みを早くしたり初見演奏が得意になるためには,音符を認識できる範囲を広げる必要があります。
弾いている時の音符を認識できる範囲を増やすためにはいつも弾きなれた曲で構わないので音符の数を数える練習と同じ場所に視点を置くことを意識して「楽譜を見ながら弾く」ということが効果的です。
瞬時に音符を数える練習をしていくと音符を認識できる範囲が広がるので,楽譜を使ったときにも同じく広い視野を持ちながら弾くということを忘れずに練習できれば楽譜の見え方が変わってくる感覚を得られると思います。
できる人はすぐに感覚をつかめるかもしれませんが,苦手な人は少しずつ練習を積んで音符を認識できる範囲を徐々に広げていくことが大切です。
認識できる音符の数には上限がある?
自分が一瞬で認識できる音符の数を把握する
これは私の考えですが,一度に認識できる音符の数は上限があるのではないかと思います。
例えば,見開きの楽譜の左ページの音を全て認識するということは現実的ではないですし,1段全ての音を弾きながら認識するというのも一部の訓練された人を除いてかなりレベルが高く,普通の人が楽しくピアノを弾くうえでは非現実的な能力ではないかと思います。
一般的にどのくらいかという明確な事例は持っていないのですが,せいぜい1~2小節分(10~20個)を認識するというのが趣味でピアノを弾く人にとっては限界かなと思います。
※もちろん,もっとできるという人もいるでしょうし,多すぎるという感じる人もいるかもしれません。
認識できる音符の数を増やすテクニック
認識できる音符の数を増やす方法としては以下の方法があります。
いずれの方法も音符を塊(パターン)で読むという点では共通しています。
- 和音で把握する
- 音階や音形を模様で把握する
和音を形で認識できるようになると,例えば4和音も1つの音として認識できるようになります。
認識できる音符が10個の場合でも4和音を4つの音として認識する場合と1つの音として認識する場合で処理するべき音の数が変わります。
例を出すのであれば,C-dur(ハ長調)の一度の和音(ドミソ)が楽譜に書かれている場合は形で認識できる人が多いと思いますが,Des-dur(変二長調)のように黒鍵がたくさん含まれる和音が楽譜に書いてあると和音で認識できないという人もいらっしゃるのではないでしょうか。もっと複雑な和音になると1音ずつ読まないと分からなくなってしまうという人もいらっしゃると思います。
譜読みに慣れてくると和音を1つの形として認識できるようになるので,全ての音を読まなくても和音を捉えることができるようになります。
音階や音形を模様で把握することについて,例えば,徐々に上昇していく音階も模様で把握することができるようになると,最初と最後の音を認識することができれば中間の音は読まなくても形が分かっていれば認識できるようになります。
分散和音も形で認識することができれば全ての音を読まなくても音を捉えることができるようになります。
パターンが認識できるようになると譜読みはどんどん早くなりますので,前回紹介したような練習を通して楽譜の音を認識できる範囲が広がったらパターンでの認識を意識して譜読みを進められると一段と譜読みのスキルが上がるのではないかと思います。
パターンを覚えるというのは日本語でも「さいしょと さいごの ひがらなが あるいてど あっていれば いみがわかる」というように塊で単語を認識していくのと似ているかもしれません。
まとめ
初見や譜読みのスキルを向上するためのスキルとして認識できる音符の数を増やすことについて記事にしてみました。
譜読みのスキル向上に時間をかけると最終的には自分の好きな曲を弾けるようになるための時間が短くなるため,先に時間をかけておくべきスキルの一つだと思います。
難しいテクニックを習得して弾くということと同じくらい大切なスキルとして,初心者やピアノを再開した人や中級者の人はぜひ楽譜を読むためのスキルの向上に取り組んでほしいと思います。